第9話 バックします。

「目を狙って射つからそれと同時に後ろに向かって体当たりして!」

 そういって彼女は助手席の窓から身を乗り出して、弓の弦を引く。

「体当たりするんですか!? えっ、嘘!?本気で言ってます?」

 身を乗り出す彼女に問いかけるとはやくしろと言いたいのかバンバンと車体を叩いている。どうなっても知らないぞ!

 車のギアをRにして思いっきりアクセルを踏み込む。

「いっけぇー!!」

 助手席の窓の外から彼女の嬉々とした声と共に矢の風切り音が聞こえる。

 今更ながら疑問に思ったことがある。オーガを轢いた時、車体には一切の傷が無かったんだよな…。

 この疑問はすぐに解決することになる。

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