モンスターを召喚するなら、先に使い魔としての契約書を印刷すべきである。

 最初に読んだとき、「ああああ」の次の就職先はここで良いんじゃないか……とふと頭をよぎったのですが……。それは一旦置いておきまして。
 技術の進化とは、当たり前のように前に前に進んでいくもので、どんどんと洗練され、効率化・生産性の向上を謳ったり、できることの幅を広げたりとキリがありませんね。
 最初、この「足」を読んだ時は、床面を傷つけないように椅子やテーブルの「脚」に被せるカバーをイメージしたのですが、作っていたのは(印刷していたのは)そんな可愛いものじゃなかったのですね……。いや、少し冷静になって考えましょうよ。
「道」のないところに「未知」を創造するのは、さすがに危険すぎるのでは……。まずは、きちんと整地をして……いや、もっと言えばまず「知識」を身につけてからの方が……。技術だけが何歩も先を歩いて、自分のイメージが後をついていく形だといつかそのリード、千切れますよ……。いや、すでにリードは奪われているというのが、何とも皮肉な話ですねぇ。
 出来上がったぬいぐるみは『百獣の王ぬいぐるみ』。……いや『百』どころでは収まらないスケール感だけに『森羅万象ぬいぐるみ』とかどうでしょうか。ほら、『万』って入ってますし。百獣の王すらも軽く凌駕すると思うんですよ。文字の意味を考えれば、ある意味『合成獣』みたいなものですしね。
 何がモンスターかって、このプリンターですよね。
 Destroy
 Death
 Dangerous
 の3拍子ならぬ、3Dが揃っているんですから。
 強化ガラスにピシリと走る亀裂。読んでいるガワとしては、どうか二人の間の「友情」に亀裂が走らないことをただただ祈るばかりです。走るのは「戦慄」だけで良いです。「逃げる」為に走るのは、まぁ……望み薄といいましょうか。
 出来上がった合成獣からしてみれば、文字通り「『亀』のような歩みで進む敵を、その鋭い爪で『裂』く」簡単なお仕事なのですから。

このレビューの作品

モンスター