第5話 そんなことってある?⑤

「玄関からお邪魔しました」



と首を傾げた彼が、夢の続きでもなく、二日酔いでもなく、現実目の前にいる居候型地球外生命体と理解するのにはかなりの時間を要した。



「話を整理すると、あなたは地球外生命体で、自分の星が消滅したから地球へやって来た…ここまでオーケー?」


「はい」



なぜか楽しげに返事をするこの地球外生命体が無駄に美形で癪に触ったけれど、なんとか気持ちを宥め確認を続ける。



「居候先を探していたあなたは、ベランダで晩酌しながら〝全てを後回しにしてゲームをしよう〟発言をした私をみつけて、翌朝ここを訪れた」


「その節は驚かせてしまってすみませんでした。地球の常識に関しては無知だったもので、勝手にお部屋に入ってしまいました」



この地球外生命体の星では、他人に入ってほしくない場所にはバリアを張るのが常識。つまり、バリアのない場所は入ってもいいという認識だったらしい。



「これがカルチャーショックなのね…。これ以上ややこしくなると困るから、他の地球外生命体が入って来ないようにそのバリアとやらを張ってもらえる?」


「かしこまりました」



ひとまず目の前の地球外生命体に悪意はなさそう。地球の常識は一から教えてあげる必要がありそうだけど…。

(落ち着け、私)

地球外生命体の淹れた紅茶を一口飲む。



「美味しいわね」


「ありがとうございます」


「じゃなくてね」



どうやって入って来たのかは未だに謎のままだわ。…返ってくる答えを想像すると怖いから、聞かないでおくことにしましょう。


ところで、どうして私?

地球外生命体そういうのを引き寄せるエネルギーとか放っちゃってる体質だったの?

これってお祓いでどうにかなるものなのかしら。



『貴女の家へ居候させて頂きたいのです』



要求はストレートに言ってくれるタイプの地球外生命体。

言語も合わせてくれて、出会い方は悪かったけど悪い人じゃなさそうだし話も通じる。

が、しかし。



「…なんで私なんでしょうか?」



あまりの恐怖に思わず敬語になる。

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