桃寺桃太郎は異世界で暴れたい〜現世に飽きた桃太郎はえげつないやり口で異世界転移に成功。女オトモを引き連れて、いざ尋常にモンスター退治〜

チン毛パイナップル

第1話 桃寺桃太郎という男

昔々あるところに桃寺桃太郎ももでらとうたろうという男の子がいました。


ゲームとラノベが大好きないじめられっ子です


そんな桃太郎とうたろうですがある日死にました。


彼の遺体が川でどんぶらこ〜どんぶらこ〜と流されているのを近隣のおばあさんが発見しました。警察はこの事件を殺人事件として今もなお調査しているそうです


桃寺桃太郎にいったい何があったのでしょうか




  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




『おやや、起きたかの?』


現世で死んだ人たちを管理する天界にひとりの女神がいた。キジコ・フェザントー、かなり露出のある衣装を身に纏った美少女女神である

 


天界には職務というものがあり、女神キジコは死者の魂を管理する転生部に所属している。つまり女神キジコは会社員みたいな存在だ


上層の神々にノルマを課され馬車馬のように働かされていたキジコだが今回大出世のチャンスが来た、桃寺桃太郎の死である。


クラスにいじめられかつ半グレにも恐喝、暴行にあった末に奴らの乗るトラックに轢かれ殺された彼の不幸は神にとっても好都合。そういう人をチートにして異世界にでも転移させれば不幸な人間に救済を施したことになり、神はさらなる神へと昇格できるからだ。


しかし不幸な人間なら誰でもいいわけではない。審査に通して、色々条件を満たした死者のみが異世界転移できる。その結果奇跡的に桃寺桃太郎が審査に通ったのだ。


つまりキジコは千載一遇のチャンスをまさに今この手に掴んでいるのだ


『...ここは』


桃寺桃太郎が目を覚ました。見たことのない世界に目の前にはやたらエロい格好の女


『起きたか起きたか桃寺桃太郎、ここは天界、お主は死んだのじゃ』


キジコはそう桃太郎に言った。


『...ほうそうか、俺は死んだんだな』


天界、エロい女、自身の死という立て続けの情報量にも関わらず桃太郎は特に驚く様子もなくなぜか淡々としている。寧ろなんか笑みを浮かべている


『私は女神キジコ、不幸な目に遭って殺されたお主を可哀想だと思った我々神々はなんとお主に異世界転移の資格をお与えになったのじゃ!』


『!!』


突然桃太郎が目をカッと開いた。そしてなんとガッツポーズをし始めたのだ


『フハハハハハハハハハハハハハハハハハ』


まるで魔王みたいな笑い声を上げる桃太郎


『嬉しいじゃろ嬉しいじゃろ、ワシも嬉しいぞ(お主が異世界に行けばワシの出世も間違いなしじゃからの〜うへへ)』


『あぁ、あぁ、アーハッハァ!遂にやったぞぉ!


俺は神を騙すことに成功したんだぁぁぁ!!』


桃寺桃太郎が盛大に叫んだ



『えっ、騙した?どゆことじゃ?』


キジコは疑問を抱く。


『おまえら神は俺のことを殺されたと思い込んでいるそうだが真実はノーだ、


俺は異世界に行くためにあえて酷い目に遭って自殺したんだよ!!』  


『な、なんじゃとぉおぉぉおぉぉぉ!!?』


思わず女神キジコは仰天驚愕した



   ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



『どういうことじゃどういうことじゃ!?』


『だからあの手この手で異世界に行く方法を試したんだよ』


『しかし、天界も神もましてや異世界に行く方法も知らないはずの現世の人間がどうやって』


『アーハッハァ!現世にはラノベというものがある。物語の主人公たちがどういう方法で異世界に行くことができたのか、可能な限りのやり口で試したんだ!そうしたら行けた、ハッハァ!』


桃太郎の嬉し仕草が止まらない


『じゃじゃあ、クラスにいじめられたのも半グレが乗るトラックに轢かれて川へ飛ばされたのも、もじもじしてた性格も募金に10万円突っ込んだのも人知れず指名手配を捕まえたのも、暴行に遭いそうな女の子を助けたのも、不幸や慈善活動も全部...』


『すべて演技だ、半グレどもに川沿いで轢かせるよう仕向けてやった!!』


桃太郎はそう断言した。


『し、しかし、仮に天界とか異世界がなかったらどうするつもりだったんじゃ、ただ憐れに死んだだけになるじゃないか!?』


『死んだだけになるなぁ、まぁいいさ。モンスターはいない、人前で剣も振れない世界なんかに俺はもとより興味ないわ!!』


桃寺桃太郎、コイツとんでもなくヤバい奴じゃ。

たかだか異世界に行くためにそのようなギャンブルに走るのか、すごいを通り越してもはやバカじゃ


超規格外の人間を前に女神キジコは呆れてものも言えない


『ただし女神、チート能力はつけないでくれ』


『これまたどうして』


『決まっている、俺が生まれながらにして強いからだ。これ以上の強さはいらない、それだけ』


女神キジコはもうコイツに何も言えなかった、演技とはいえ今まで酷い目に遭ってきたコイツが何故ここまで自身の強さに絶対的な自信があるのか...


『じゃあ今から異世界転移するぞい、剣と魔法のファンタジーじゃ。て異世界ライフを楽しむんじゃ』


もうさっさとどっかに行ってくれと言わんばかりにキジコはそう呟いた。


『あぁ。女神キジコと言ったか、最後にこんな俺の夢を叶えてくれてありがとう、感謝する。じゃあ』


桃太郎がそう言うと、足元から魔法陣が出現する。そしてそのまま桃太郎は異世界へと転送された。




『はぁーやっと行ってくれた。とんでもない奴じゃった。じゃがしかしこれでワシの出世間違いなしじゃあ!!』


嬉しくてつい両腕を上げるキジコ。


『伝令伝令伝令っぴ』

 

するとそこに手紙を持った小鳥がやってきた。キジコに手紙を渡してくる


『なんじゃ伝令鳥か、上層の神々から私に連絡...まさかワシの出世の通知っ』


そう思ったキジコは伝令鳥から手紙をもらうとすぐさま開封した。桃寺桃太郎、ワシもお主に感謝する、お主の存在がワシを偉くしてくれるからの〜うへへ


『...』




       神事異動内示書


転生部

キジコ・フェザントー

      

           最高神

           ペニス・チンプォニア



下記の通り、今日付で貴殿に異動を命じます。




  異動先 異世界


   役職 桃寺桃太郎ももでらとうたろうのお供



桃寺桃太郎の手助けに回ってほしいのです。ご理解の程をよろしくお願いします




『ええええええええええええ異動、しかもアイツのお供として異世界ぃいぃぃぃい!?』


文字通りの神の天下りである。モンスターが跋扈する異世界への異動、神にとってはあまり嬉しくはない事態である。


『嘘じゃ嘘じゃ嘘じゃ嘘じゃ嘘じゃ、あんなヤバい奴と地上生活なんて絶対嘘じゃこのバカ上層部が、...』


キジコの足元にも魔法陣が開く。女神キジコ転送開始、伝令鳥はクールに去るぜ


『いやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃいやじゃ


いやじゃぁぁぁあぁぁぁああぁぁあぁぁ!!』




こうして桃寺桃太郎とキジコ・フェザントーは異世界へと転移しました。





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