第18話 職員会議 結論:生徒達だけずるい

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「――では、これから職員会議を始めます。議題は玉城先生の恋愛対象に女子高生が入っている事について、です」


毎度の第一会議室にて。

職員室に入って直ぐに教員達に連行された俺は会議に参加していた。顔ぶれはどこかお疲れ気味の職員全員である。この光景にデジャブを感じる気もしないではないが、いったい何のことだろう(すっとぼけ)。


「……何言ってるんですか理事長」


あと、誰も言わないからきちんと理事長の言葉を返しておく。

だって理事長以外溜息ついてるんだもん。

――えっと皆さん? 会議は真面目に受けましょうね??(カス)


「ごほん、では気を取り直して。――これから、現在発生している非常事態についての対応を検討したいと思います」


机上で腕を組んだ理事長の真面目な言葉に、皆僅かに姿勢を正す。

こうして見れば有能そうなのに、何故理事長はネタを挟まないといられないのか。残念な人だ(n回目)。


「詳しい説明は、玉城先生。お願いします」


「はい。まず初めに――――――」


俺が事の顛末語り終えると、事情を知った教員達は何故か熱い眼差しを送ってきた。あれは俺を狙ってる目だ。いやん。えっち。


しかし、こうやって皆の前で俺の性癖が暴露されたわけだが、俺を非難する声は全く出ない。俺の気にしすぎだったようだ。


良かった。前世だったらゴミを見るような軽蔑する目に晒されていたことだろう。


「では、意見を募ります。意見のある方は挙手をお願いします」


その声に篠原先生(三年三組担任)と山下先生(養護教諭兼スクールカウンセラー)の手が上がった。


「では先に、篠原先生お願いします」


『はい』と返事をして篠原先生が立ち上がる。


「私は現在三年生のクラスを担当していますが、聞いたところ皆男性経験――会話やデート――がありませんでした。しかし将来のことを考えると、大学は学びに行く場所ですから、純粋に青春を楽しめるのは高校生までだと思います。つまり、現時点で男性である玉城先生と交流を持てる機会があるのですから、人生の思い出にその機会を与えてあげて欲しいと思います!」


篠原先生が『私の青春は高校まででしたし』と最後に呟くと、椅子に腰を下ろした。


「ありがとうございました。では山下先生、お願いします」


『はい』と返事をして、今度は山下先生が立ち上がる。


「私は現在養護教諭兼スクールカウンセラーとして日々生徒達の悩み・同断を聞いてきました。その中で一番多かったのは男性についてでした。皆思春期ですから男性に興味があり、そういった欲求が強くなって抑えられないといったケースが多くありました。残念ながらこれまでは共感したりマスターベーションのやり方を教えたりと表面的な物ばかりで、根本の解決は出来ていませんでした。しかし今は男性教師である玉城先生がいます。一度でも幸せな思い出を得られれば、人間としても余裕を持てるようになり成長すると私は思います」


山下先生が『私はブスで拗らせましたし』と最後に呟くと、椅子に腰を下ろした。


………え、何この最後に入る自虐は。

言わないと落ちがつかないとか思ってたりするん??

てか篠原先生はともかく山下先生。あんた……重いんよ……。


それからも教員達による会議は白熱し、ある教員は『玉城先生と女子生徒だけでは危険ですから私m……ではなく誰かしら同行者が必要だと思います』と発言したり、またある教員は『生徒達だけそれを行うと不公平なので我々教員もおこぼr……ではなく、玉城先生に負担を掛けるのは良くないので、生徒の代わりとして事前練習に付き合うべきです』などの意見が上がった。


――つまり、大した意見が出なかった。

会議は二時間後に終了した。一体何の時間だったんだろう。

俺は怪しんだ。

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