第2話 ゴブリン討伐依頼
あれから2週間くらい後、再度依頼があったと思ったら、また彼ら「魔狼の牙」の面々だった。
今回は、ゴブリン村の壊滅!だって・・・まあ、問題ないけどね。
これは、近隣の村からの依頼だって話だ。
街からは馬車で1時間くらいかな?
既に村の囲いはぼろぼろに破壊されている。村長の話では・・・
前からゴブリンは目撃されていて、村の男衆でなんとか防御はできていたのだが、1週間くらい前から、村を襲うゴブリンの数が増えてきて村民にも被害が出始めた。
有志を募って、ゴブリンたちのあとを付けていったところで、ゴブリンの村ができていた。しかもそこは、以前は人間の村だった!ってことらしい。
今度は、この村も同じように・・・と思って、ギルドに討伐依頼を出したんだと・・・
ゴブリン集落の場所は、この村からは、徒歩2時間くらいのところらしい。
まあ、僕は、気配を探って、既に把握できたけどね。
リーダーが、どうしようか? 村人に案内をさせようか? 悩んでいるので、
「リーダー? ゴブリン村の場所なら、僕わかりますよ? 気配がわかるので・・・」
「えっ!そうなのか? ケンジは凄いな・・・」
ということで、まあ僕の言葉を信じてもらえたようで、早速出かけることになった。「村にある荷馬車を使ってくれ!」っていう村長の申し出もあったので、座り心地の良くない荷馬車で向かっている。でもこれなら、30分くらいで行けそうだな。
「方向は?こっちでいいのか?」
「ああ、大丈夫ですよ、遠くに見える大きな岩、あれに向かって進んでください」
「わかった!」
「岩に着いたら、そこからは右寄りに森に向かいます、森の入口あたりで徒歩に切り替えたらどうでしょう?」
「うん、任せた! またあとで案内してくれ!」
はいはい、すべて了解ですよ〜 せせらぎもあるから、馬の給水もできそうだな。
まあ、もう少しだけど時間もあったので、マッピング!
森から入って小川沿いに進んで10分くらいで村の入口だね。
元は人間の集落ということもあって家が多い。一番奥の家が大きいから、元村長の家だろう。
ゴブリンの気配は・・・55匹、うち、4匹が大きい魔力を持っている。
人質は? あれ?居るな・・・ 屋敷の奥に7人、女性がいる? 男は居ない・・・またまた、めんどくさいことをしてくれてる!
一応、僕の掴んだ情報をみんなに言っておいた。
総数55匹、うちでかい気配が4匹、一番奥の屋敷に7人の人間の女性がいる、男はいない、ってね。
今回は僕もはじめから戦力に組み込まれた。
リーダーとエボ剣士が敵を引き寄せて集めるので、僕が殲滅して奥へ進むっていうもの。
その間、ララ剣士とナナ魔道士は、奥へ先に回り込んで屋敷の中の人間の女性たちの救出準備をする。
まあ、リーダーがそう言うならそれで良いけどね、ララとナナが先に進むのは少し危険かな?
あのでかい気配の4匹は、キング、ジェネラル、マジシャン、そしてもう一人マジシャン。ここのゴブリン、魔法寄り?
キングとジェネラルのレベルは250超え・・・魔狼の牙、大丈夫なのか?
村に入っていったリーダーたちの後ろで、ナナ魔道士が大きな音付きの落雷を落として、ゴブリンたちの気を引いている。
そのあたりにうろうろしていた連中が棍棒をもって集まってきた。21匹!
まあ、打ち合わせ通り、僕が、空から光射の光魔法を降らせる。
頭を、肩を、背中を射抜いて、光が差し込んでいって小さな穴が開いて、ゴブリンたちがバタバタと崩れるように死んでいく・・・
そんなものを放置したまま前衛男子二人が進んでいく。
まあ、魔石ぐらいしか価値がなさそうだけど・・・なので、死体から魔石だけを指定して転送して回収しておいた、ゴブリン魔石21個。
第二陣との間で、棍棒との鍔迫り合いが始まっているので、急いで、光射の雨を降らせて、ゴブリン第二陣を沈めた。魔石回収20個。
第三陣もぞろぞろ集まってきたところを、光射で沈めて、魔石回収10個。
さて、残りは屋敷の前にノコノコ出てきた大きなゴブリン4体だ。
リーダーたち二人が対峙する。そこへ、打ち合わせ通り? ララとナナも出てきて、男子の後ろに付いた。まずは、自分たちで殺る!んだって・・・
向こうは大剣を構えたジェネラルと大杖を掲げるマジシャンの2体が前に出てリーダーたちを迎えるようだ。後方のマジシャンが魔法を発動しようとしているな・・・こちらの魔道士は前衛の男子たちに支援魔法を送るだけ?
まあ、嫌な気がするので、あの後ろのマジシャンを一体、封じておこう! 風刃を飛ばす。首刈り!
それがきっかけ?かどうか知らないけど、リーダーたちの鍔迫り合いが始まったが、あれ? 押されているよ? マジシャンの杖術も大したものだ、これじゃあ剣術と変わらない。
今、ナナの支援が効いているから持ちこたえられているようなものか〜
このすきに、ララは、屋敷の中に入っていった、そういう段取りなんだろうけど・・・これ、外が・・・駄目な状況だよ!
とりあえず、ちょっかいを出せないように、キングを結界に閉じ込めて、前の二体、ジェネラルとマジシャンに加重! で、動きを制限してやる。
うん?少しリーダーたちの攻撃が入るようになったかな?って思っていたら、何と! あのマジシャン、僕の加重!をはねのけようとしてる?
よし、本気を出すよ! 加重!魔力多め! さあ、どうよ!
マジシャンが立っていられず膝まづいたね・・・そこにエボ剣士の一撃が入ってマジシャンの首が飛んだ。
さあ、ジェネラルに対するのが二人になったよ、キングは抑えてあるからね〜
それでも、ジェネラルの剣がエボ剣士の剣を折って破壊した。リーダーの剣もジェネラルに届かなくなってる? 強いね! なので、こちらにも、加重!魔力多め!
ははは・・・どうよ? 動けまい? それでも重力に抗おうとするジェネラルに、リーダーの剣が食い込んだ! そのまま袈裟懸けに切り下ろした。
結界の中のキングが、顔から湯気があがるほど怒り狂っているのが見える。
と、リーダーと剣を折られたエボ剣士がキングの前から横に動いて、
「ケンジ! 頼む!キングを殺ってくれ!」ってリーダーが叫んだのが聞こえた。
結界はそのままで、光槍でキングの心臓をぶち抜いた。 終わりだ!
「ふう〜 ケンジ、すまない、ありがとう、助かったよ〜」
「まあ、援助依頼ですからね、構いませんよ・・・」
「悪いが、この4体の遺体を回収しておいてくれないか?」
「ああ、良いですよ、そこのジェネラルの大剣、エボ剣士! どうですか?」
「ああ? 俺が?」 リーダーも頷いているしね・・・
「わりい、もらっておくか・・・」 って、ブンブン、振り回してる、具合はよさそうだな。
と、そこへ、屋敷の中から、ララ剣士が女性たちを連れて出てきた。
どうやら、女性たちは・・まだ・・・無事なようだ! 良かったな・・・
なんでも、犯された女性たちは・・・死んでいったそうだよ・・・
すべて、ここの村の元住民の女性たちらしい。
リーダーがいろいろ説明して話して、どうやら、隣り村、つまり今回の依頼者のところへ連れ帰って欲しいという要望を受けることになった。まあ、荷馬車もあるけど、こりゃあ僕たちは歩き!だな・・・
マッピング!でお宝探し。キングの部屋らしいところに鞄が置いてあるね、これは魔法鞄だよ。あとは、金貨20枚入の袋。これらを、転送してそのまま僕の収納に回収しておいた。
リーダーに声をかける。「ちょっと屋敷の中を見てきますよ・・」
「そうか、俺も行こう・・・」って言うので、二人で一緒に屋敷の中を見回した。
その間に、他のメンバーは女性たちを連れて森の入口、荷馬車のところまで先行することになった。
こっそり、さっき回収した金貨20枚入の袋を取り出して、
「リーダー、お宝発見!」って言って、リーダーに渡してあげたけどね〜
「ケンジ、お前が見つけたし、ここの攻略の功績者だし、お前がもらっておいても、良いぞ〜」
って言ってくれるけどね、まあそんなことなら・・・「あの女性たちの今後にでも使ってもらったらどうですか?」って答えておいた。
結局、依頼主の村で女性たちは保護されることになったので、
「これは、ゴブリンから回収した金貨です、村で使ってください」ってリーダーが、金貨10枚を村長に渡していた。 なんだ? 10枚なのか?
まあ、僕が口出しする場でも立場でもないから、黙っていたけど・・・
女性たちには、せめてもの気持ちということで、まとめて、ヒール!と回復!をかけてあげた。擦り傷や切り傷もあったしね・・・
こんなのばかりだな・・・
*ゴブリン村討伐、女性たちを開放
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