好意

そうして迎えた次の日の帰り。僕は教室で彼女の準備が終わるのを待っていた。


「ごめんなさい!待ちました?」

「いや、別に待ってないよ。それでどうしたのさ、いきなり」


僕が聞くとモジモジしながら歩き出したので、僕はそれについて行くことにした。

校舎を出て、校門を出て、それでも彼女は何も言わない。

道を曲がり、繁華街に差し掛かり、彼女はとあるファミレスに案内をした。


「えっと……内装の打ち合わせ?もしかして、何か作りきれないものができたとか?」

「いや、その、えっと…」


キュッと服を握りしめ、一度深呼吸をした。ぱっとこちらを向いて、彼女は



「す、すすっす、好き!です!えっと…あの…お願いします!」


……と、言ってきた。


「は?いや、僕が伊豆奈と付き合ってるの知ってるでしょ?」

「で、でもっ、諦められません!だ、だから…2番目でいいから!お願いします!」


とんでもないことを口走ってくる。これが恋の盲目、というやつだろうか。自分以外の気持ちを全く考えていない発言に僕は少し引いた。


「あの、さ。僕は、伊豆奈が好きなの。でね、伊豆奈以外は、興味0なの。わかるかな?」

「関係ないです!付き合ってみましょうよ!気持ちも、変わるかもしれないですし…」

「僕が君に抱く感情が、クラスメイトから邪魔するやつになるよ?」

「そ、そんなのわからないじゃないですか!」


ふと入ってきた同級生っぽい他校の生徒が「うわ、あれ絶対浮気だよ」とかほざいた。どこをどう切り取って聞いていたんだ。はたまた、修羅場=男の浮気とでも思っているのだろうか。


「とにかく、僕は君とは付き合えない。話はそれだけ?なら僕は帰るよ」


幸いまだ何も注文していなかった僕は、急いでファミレスをでた。

一体、どういう経緯でそんな感情を抱いたのか。それを聞く気も気力も僕にはなかった。



「君とは付き合えない。話はそれだけ?なら僕は帰るよ」

「ちょ、あの!」


彼はそういい、私の声を無視して店から出て行ってしまった。


「そ、そんなぁ…」


これでも、学年1可愛いって言われてるのになぁ…。

腹いせにパンケーキを3枚頼んでやけ食いしていたら、友達が3人入ってきた。


「あれ?みどりじゃん。1人で何してんの?」

「ってかパンケーキ頼みすぎwなんかあったん?」

「実は、さ…」


私はことの経緯を話した。最も、この話で1番やばいのは私なのはわかってる。でも、失恋のショックはさらけ出さないと治らない気がした。


「え〜何それ、ひっど〜」


だけども、友人たちは予想外の反応を示した。


「それな〜。私だったらいくら会長が可愛くったって翠と付き合うのに」

「そ、そう…なの?」

「うんうん。そうだよ〜」

「あいつ調子乗ってんじゃね?w」

「確かにw明日、ちょっとお灸据えてやろ」


私以外のみんなが「賛成〜」と言い、同調圧力をかけてきたから、それに負けた私は「う、うん。わかった」と首を縦に振ってしまった。

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