3日目 朝

「う〜…ふわぁぁぁ…」


起床と共に、大きなあくびをひとつ。昨日は、確か侑斗くんに甘えて…。

思い出す。昨日の最後の風景を。確か、侑斗くんとキスして…それで…。

ぱっちりと目を開く。開いた先には、かっこいい侑斗くんの顔があった。私は侑斗くんの体に足を絡め、抱きしめていた。


朝起きても、唇はくっついたまんまだった。


「ん…えへへ。幸せ」


再度キスをし直し、私は侑斗くんの胸に顔を埋めた。

すると、その反動で起きたのか、侑斗くんが目を覚ました。


「おはよう、伊豆奈…」

「うん。おはよ、侑斗くん」


綺麗な朝日がさす部屋で、もう少しだけ、私はこうしておきたいと思った。



目が覚めると、胸の中には伊豆奈がいた。どうやら、先に起きて抱きしめていたらしい。

伊豆奈が目を覚ましてるのは知ってたから、僕は伊豆奈に


「おはよう、伊豆奈」


といった。まだ重たそうな瞼を擦りながら


「うん。おはよ、侑斗くん」


と言った。

それから、伊豆奈はさっきよりも強く抱きしめてきた。まるで、もう少しだけ、このままでいたいというかのように。

僕はそれに応えるように、僕もまた強く抱きしめた。

このまま…と思った矢先。


「プルルルルルルルル!プルルルルルルルル!」

「わっ!」


突如鳴り響いた固定電話の音にびっくりした伊豆奈が飛び跳ねた。

僕はすぐに受話器をとり、対応をした。


「はい」

「浜宮様、朝食の用意が終わりましたので、食事場までお願いします」


僕はそれだけ聞いて受話器を戻した。ふと伊豆奈を見る。

キョトンとした顔でいたから、僕は思わず


「ぼーっとするな〜」

「ふにゅ!?顔ひっはらないれ〜!」


ぷにっと頬を軽く引っ張った。柔らかくて、少し赤みかかった頬は、なんとも言えない気持ちよさがあった。

パッと手をはなし数秒。僕らは2人揃ってキョトンとした顔でお互いを見つめて


「…あはは」

「…えへへ」


と、2人で笑い合った。

それから、僕らは食事場で朝食を食べた。昨日と同じビュッフェの形式。僕らはそれぞれ昨日とは違うスタイルのものをとった。食べさせあって、笑い合って。僕らはまた、お互いを好きになった。


「…あ、今日は遊園地に行くよ」


卵焼きを頬張りながら、伊豆奈がそういった。

僕は急いで口の中に残っているパンを飲み込み


「了解」


と答えた。


「どうする?私、ジェットコースターとお化け屋敷行きたい!」

「それは吊橋効果を期待する男女しか行かない場所じゃないかな?」


伊豆奈は、満開に笑顔を咲かせ


「もちろん!」


と言った。

この3日間。僕は彼女の色々な魅力を触ったが、こんな無邪気な姿が多くあるのは、それだけ気を許してくれてることなんだろうと思った。

昨日同様、僕らは談笑しながら朝食を食べ、食べ終わったのち、僕らは部屋に戻った。



「よし!荷造り完了!」

「早いなぁ…。ちょっと待ってて。えっと、これは持って行って…」


僕らは自室に戻ってから、荷物をかたずけていた。


「片付けながら聞いてね~」

「今日は遊園地に行くんでしょ。大丈夫。覚えてるから」


そう答えながら大きい鞄に歯ブラシなどを詰め込む。

もちろん、伊豆奈が忘れてそうだったからそのままもらってきた。


「ねぇ~まだ~?侑斗くんが足りな~い!」

「ちょっ!」


僕が地面に座りながら荷物をかたずけてると、伊豆奈が急に後ろからぎゅっと乗ってきた。


「むふふ~」


といいながらすりすりと全身をすりすりとしてくる姿は、本当にめちゃくちゃかわいい。


「もう…ちょっと待って…はい!終了!そりゃ!」

「うわぁ!」


僕は残りのかたずけをすぐに終わらし、僕はそのまま後ろを向き、思いっきり抱きしめた。


「んん~、ぎゅーっ!」

「あはは。ぎゅー」

「あと10分~」

「わかった」


僕はそのまま、10分抱きしめた。伊豆奈の匂いを1日中なんどでもどこでも嗅げるように、この記憶を脳みそに刻み込んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る