監禁

朝の教室。


「なあ、昨日のあれ見た?」

「見た見た。すごかったよな」

「ああ今日も勉強勉強勉強勉強勉強勉強勉強…………」


朝一と言うこともあり教室のあちこちでみんなが話をしている。

それは僕もしかりで


「おい、安泰人」

「何?」


話しかけてきたのは、数少ない友人の拓哉たくやだ。


「今日も朝一からアツアツの登校だったなぁ…あんまり羨ましいことばっかしてっと後ろから刺すぞ」

「そんなマジな顔で言うなよ…本気にするだろ…」

「さあ、本気か本気じゃないか。それはお前自身で決めてくれ」


とりあえず、嘘だと思って話をすることにした。


「本当、将来決まってるやつはいいなぁ。どうせ夜もお楽しみだったんだろ~」

「実際、将来決まってても何か変わるわけじゃないし。社会人になったらこういう事が出来ない以上僕は大学進学する君がうらやましいよ」


胸の内を包み隠さず言うと彼は


「その舐め腐った喉と口、焼き切ってやる」


と言いながらはんだごてを取り出した。


「ごめっ、ごめん!!!嘘!嘘だから!!!!」


何とか暴走状態の彼を止められたが


(こいつ…常にこんなもの持ち歩いてんのか?)


彼のことをかなり危険視した。

そんな茶番をしていると


「はい、席に座れ~」


担任の声とチャイムと共に、クラスの至る所で参考書やらなにやらを開く音を聞いた後、まもなくして机と空間の間にある紙に次々とシャーペンを立てる音が教室中にこだました。


(やることないとはいえ、なんか背徳感すごいな…)


と、のんきなことを考えていた。



~AM8:00~


「…ちょっと張り切りすぎたな」


呟きながら今日の服を体をひねりながら見る。

今日の花見のことを親に伝えると「張り切って選ぶぞ~!」と言って、姉と一生懸命コーデを選んでいた。


「…伊豆奈はなんて言ってくれるかなぁ…」


鞄の中で人形が復唱しているのも気付かずにそう呟いた。


「にしても…」






遅いなあ。伊豆奈。

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