第3話 モンスターカード

 次の部屋にもスケルトンは1体だけだった。

 だが、その手には棍棒のようなものを持っており、部屋の入口の方を向いている。


 つまり正面から真っ向勝負しか許されないような状況である。

 先制攻撃はできるが……。


 では、突撃。

 まず召喚したスケルトンを突撃させる。

 簡単な指示で自分がさせたいことを汲み取って動いてくれれるので便利だ。

 だが、指示を切らすと動きが止まるので注意が必要。


 そして召喚したスケルトンに棍棒のスケルトンの意識が向いたところへと《火遁・弾》を撃ち込んでやる。

 それを受け、肋骨が砕ける棍棒のスケルトン。

 のけぞったところへ、召喚したスケルトンが腕を振り回してぶつけ……。


 砕け散ったぁ!

 手刀を叩き込んだのだが、相手の左腕にあたって、手の骨が砕けたのだ。

 相手の腕にもヒビが入ってダメージがあるようだが。


 もしかして……この召喚したスケルトン、弱いのか?

 最初のスケルトンも弱い個体だったのか?


 だがそんな疑問は後回しだ。

 可能な限り攻撃を続けなければ。

 守勢になれば有利な状況は崩れるかもしれない。


 喰らえ!

 召喚したスケルトンを盾に、刀を棍棒のスケルトンにへと振り下ろす。

 だが、それは棍棒に防がれ弾かれた。


 たまたまか?

 いや、動きがわかりやすかったからだろう。

 もっと器用に立ち回らなければ、負傷は免れないだろう。


 そう思い。

 召喚したスケルトンを突っ込ませて相手を抑え込ませた。

 だが、STRの差だろうか、下手に時間を与えると振りほどかれそうである。


 ニンジャ刀を両手で構える。

 これまではがむしゃらに振り回していただけだった。

 きちんと刃筋を立て、相手を切ることを意識する。

 それだけでいい。


 ジョブカードの力によって、その意識が刀の先まで通った。

 武器の使い方が、一気に手に馴染む。


 エイヤァ!

 横向きに振り出された刀は、相手の首の骨に食い込み、切り裂く。

 相手の頭蓋が落ちて転がり、光の塵にへと変じた。


 か、勝てた……。

 最初のスケルトンと比べて、ちょっと強かった。

 弱いとは言え召喚したスケルトンがいなかったら危なかったかもしれない。

 HPがあるから怪我はしなかったかもだけど。


 で、ドロップは……と。

 そこにあったのは一枚の硬貨だった。

 紫色をしていて、透き通っている。


 ポップアップウインドウによるとこれは【魔石】。

 カードの力を強化する石らしい。

 なにか他の用途にも使えそうだが、強化が基本の効果の模様。


 多分これ通常のドロップアイテムなんだよな。

 経験値とかゴールドのドロップをひとまとめにした物。

 じゃあ最初のスケルトンが落とさなかったのは……まあこいつのモンスターカードをドロップしたからだろうな。


 さて、魔石。

 いわゆるレベルを上げられるアイテムだが。

 どう使おうか。


 ぶっちゃけ今の状況ならジョブを強化する必要は……どこまである?

 ステータスが2,3上がるだけならこの後の3部屋目で効果があるとは思えない。


 召喚したスケルトンを見る。

 こいつ……、やっぱ弱いんだよな。

 殴りかかったら手が砕けるって。


 こいつを強化したほうがいいんじゃないか?

 そう思ったので、スケルトンのカードに魔石を使用。

 これもウインドウに入れて使用対象を選ぶ方式だった。


 魔石で強化すると同時にキラキラするスケルトン。

 キラキラが収まると砕けた手が元通りになり。

 そしてその手に棍棒が握られていた。


 ……はい。

 多分レベルとか位階とかが一つ上だったんだな、この部屋のスケルトン。

 召喚したスケルトンも位階が上がったので棍棒を装備した、と。

 ウインドウにもCAPを消費しない棍棒を装備していることが表示されている。


 これで殴りかかれば防がれない限り同格のスケルトンにも有効打を与えられるだろう。

 いや、これで同格と戦えるってスケルトン弱いな……。

 HPを気にしなければゴリ押しで行ける相手だしそんなものか。


 さて、三部屋目。

 きっとこのダンジョンのボスが出てくる。

 スケルトンより倍ぐらい強いのを警戒しないと……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る