第4話 突然の地理転移に唖然としていたところ映画のワンシーンを見たワタクシ古舘であります
「まさか私まで神隠しとやらにあってしまうとは……。」
古舘はオカルトやスピリチュアルの類を信じたことは全くない。
「そうか夢か。おそらく本当の私は病院で昏睡状態にでもなっているのだろう」
頬を軽く叩く。
「あ、痛い」
より強く叩く。
「しっかり痛い。五感はしっかりしている」
しばらくボーッとする古舘。
「風景に現実感がないというか……広い草原?ええ?」
振り返り、見上げる。
「まず、この木はなんだ。地理の教科書でも見たことがないぞ」
アナウンサーなだけあって博識さには自信があったのだが、こんな形の木はどの地域にも心当たりがない。
「……」
考えたくはないが古舘の頭の中でひとつの仮説が横切った。
「
そんな古舘の不安をよそに、相変わらずこの草原には心地よい風が吹いている。
「なにせ景色がまるでファンタジー世界さながらの絶景であるうえ私以外の人間が見当たらないのでそう解釈した方がしっくりくるでしょうそして何より私はトラックに轢かれたのだから!」
誰も聞いていない早口の実況をし終わった時、左正面の地平線から、何か出てきているのが見えた。
「なんだアレは」
少しづつ大きくなっているように見えた。
「……こっちに近付いてきている!」
凝視していると大勢の人間がワラワラ出てきているということが分かった。
「兵団か!?」
まだ遠いのでハッキリとは見えないが、みな鎧を身につけているように見える。
こちらに近づいてはいたが、古舘から見て右方向に向かっているようだ。
「進軍先に何が?」
右側に目を向けると、そちらからも小さく虫のようだが大勢の人間が遠目に見える。
「これは戦争が始まる予感であります!」
古舘の予感は当たっていた。
「遭遇した!よし構え!」
古舘が最初に視認した左側から来た兵団は歩みを止めたかと思うと、指揮官らしき人間のひと言で一斉に弓を構える。
「え、映画の撮影なんでありましょうか!」
左の兵団はもう古舘の近くまで来ていたので、大迫力だった。
「映画の撮影ならカメラがあるはずなのだが、どこに……」
古舘は周囲を見渡すがカメラはおろか、残念ながらスタッフすら見当たらなかった。
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