第十一話 亜人系ダンジョン8階層

 亜人系ダンジョン8階層に到着した。そこには大部屋とその壁に門がある。あの中でボス戦があるのだろう。

 大部屋には1つのパーティーがいる。先に待っているのだろう。ここでも怪訝な目で見られる。こんな目で見られる理由も最近分かってきた。俺にパーティーメンバーがいないからだろう。とりあえず聞いてみるか。近くにいたパーティーに聞いてみる。


「少し聞いてもいいか?」

「なんだい?」

「これは順番待ちしているんだよな?」

「そうだね。そこの門に触れると順番に飛ばされるよ。それにしてもパーティーメンバーは?」

「実は俺は戦いの神の加護もちでな」

「それは……なんといっていいのやら」


 とりあえず肩をすくめてみる。実は戦いの神の加護を得るということは、いいことばかりだけではないということは知れ渡っている。

 それというのも加護を得るということはその神に目をつけられているということでもある。神は強い能力を渡すと同時に他にも縛りを科すということで有名だからだ。

 過去にパーティーメンバーを組めないと公言した人物がいて、その人は戦いの神の加護もちだという話は有名だ。


 そんな訳で俺のことも同様の縛りだと予想したのだろう。その分強いが普通の人はパーティーを組みたがるからな。デメリットのほうが大きいと思ってるんだろう。俺はそうは思わないが。


 先ほどのパーティーとは分かれて壁際で待機する。そうして待っていると俺の足元に魔方陣がでた。よし、行くか。


◇◆◇◆


 大広間に飛ばされた。そうしていると目の前に魔方陣が出た。たぶんそこからモンスターが出てくるのだろう。今のうちに剣を抜いて盾を構える。

 この日のためにホワイト・オーガを狩って作った。ちなみにホワイト・ミノタウロスの角で作ったものは重かったため、一撃の重さに特化させるため大剣だけ作った。


 さて何が出るか。まあ強いことだけは確かだろう。

 俺は自然と笑みを浮かべていた。


「ブモォ!」


 魔方陣から現れたのは白い色をした姿に手には対称形の両刃斧、ラブリュスを持っている。仮称、ホワイト・ミノタウロス・ラブリュスで。


「武器持ちか。しかもあんな重そうなラブリュスを片手で持てるのかよ」


 さすがの威圧感に冷や汗が出る。ダンジョンが神の手によってできたと聞いて、更にボス部屋のモンスターはランダムなら何かしら干渉してくると思った。そうなると十中八九ミノタウロス、次点でオーガが出てくると思ったが当たったか。


 先ずは魔法で先制!


『火よ 敵を撃て』「ファイヤーボール」


 魔方陣から火の玉が飛び出ていくが、間合いを詰めつつラブリュスで叩いて散らした。


「魔法じゃ意味ないか」


 さすがに力技で蹴散らされると苦笑いが出る。接近戦しかないか。


「さあ、こい!」

「ブモオォ!」

「ぐっ!」


 ガキィィィン!と甲高い音がする。盾で何とか受け流したが、すぐさま二撃目が襲い掛かってくる! 


「(まあ両刃だからな。すぐに二撃目がくるか!)」


 心の中でつぶやきつつ、ギリギリで受け流していく。まともに受けると腕ごと粉砕されそうだ。

 なんとか受け流していくが、正直じり貧だ。攻撃の合間を狙おうにも短すぎる。無理に攻撃すれば、受け流すことができずそのまま押し切られるだろう。


「(さあ、どうする!? どうすればこいつを殺せる!?)」


 思考を巡らせるがいい案が思い浮かばない。


「(それにしてもコイツ、片手でブンブンとおもちゃみたいに振り回しやがって。この筋肉馬鹿が!)」


 心の中で毒づくが状況は変わらない。こっちは盾で守っているが、この盾あんまり耐久性なさそうなんだよな。


 ミシッ


「(そう思ったとたんにかよ!?)」


 嫌な音が聞こえた。嫌がらせに盾を投げつけて急いで下がる。投げつけた盾は無残に壊れた。一応予備の盾はあるがこのままだと同じ目にあって無駄になる。


「アイテムボックス!」


 右手に持っていた剣も投げつけつつアイテムボックスから大剣を取り出す。


「(こうなったら一撃に全力をこめてぶつける!)」


 稼いだ距離で助走をつけつつ振りかぶる。それに迎え撃とうというのかホワイト・ミノタウロス・ラブリュスは動かない。


「スラッシュ!」

「ブモオォ!」


 ガッキイイイィィィ! と甲高い音が火花とともにする。両方共弾かれた。


「(弾かれた勢いを殺さないように!)スラッシュ!」

「ブモオォ!」


 そのまま何度も弾きあう。


「(もっと)スラッシュ!(もっと速く!)スラッシュ!(もっと強く!)スラァッッシュゥ!!」

「ブモオォ!?」


 徐々に、本当に徐々にだが押してきた。


「(まだだ! まだ力が出せる! もっと速く振れる!)」


 ここにきて隠された力が出たというわけではない。どちらかといえば本来の力が出ている。人間ならこんな程度の力しか出ない。そう無意識の内に思ってセーブしていたのが、危機的状況で壊れてステータス本来の力が出ているのだ。


 そうこうしているうちに思いっきり打ち勝ってホワイト・ミノタウロス・ラブリュスの態勢が崩れた。


「スラッシュ!」


 そしてスパッと首を跳ね飛ばした。激闘のわりに終わるときはあっけなく終わった。そしてそのままぶっ倒れた。


「はあっはあっはあっ勝った、俺の……勝ちだ!」


 その顔には満面の笑みが浮かんでいた。


◇◆◇◆


「あー頭重い」


 しばらくして体力が回復したのか起き上がる。いつの間にか死体が消えてラブリュスが落ちている。ホワイト・ミノタウロス・ラブリュスのドロップアイテムだろう。


「あれだけの死闘でこれっぽっちか」


 そういいつつアイテムボックスにしまう。そのまま次の階層にいくための魔方陣に乗る。

 9階層に到着した。見た目はこれまでと変わりなさそうだ。


「さて、帰るか」


 流石に疲れたのか宿に帰るようだ。


「それにしても今日はいい夢見れそうだ」


名前 シヴァ  基礎lv10 男 15歳

ジョブ 戦士lv22 魔法使いlv21 僧侶lv20 生産者lv20 探索者lv22

加護 戦いの神

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