第7話 ちょっと不思議な話

その一

 

高校生だった時の話。


 中間テストの真っ最中、一番後ろ席で真面目にテスト問題に取り組んでいた。コツコツコツ、革靴の靴音が近づいてきた。先生の見回りだろう。気配が背後にまわると、クスッと微かな笑い声が聴こえた。テストの先生は担任のY先生だ。こっちが必死に解いてる問題を笑うってナニ!と頭を上げた。すると、正面の教卓にはY先生が座ってテストの採点をしているのが見えた。


(へっ?)

その瞬間、唐突に燕尾服姿の山高帽という姿が頭に浮かんだ。笑ったのは先生じゃなくて、その人だ。唐突にそう感じた。足音も気配も消えていた。

 テストが終了し、友人に先生が見回っていた靴音が聞こえたのかを聞いてみた。

「え、先生ずっと教卓のところにいたよ。」

靴音なんて聞こえなかったとか。


 後日、返ってきた答案用紙は、まあ笑われたのが判る点数だった。


その二


 小学生だった時のこと。放課後、駄菓子屋さんで当たり付きのアメを買った。当たるともう一つもらえるものだけど、当たり付きの商品で当たりを引くことはそれまで殆どなかった。アイスでもなんでもいっつもハズレばかりだった。ところがその日は、当たりがでた。すっごく嬉しくなってもう一つをもらって家に帰った。で、そのもう一つを家で開けると当たっていた。


すごい、連続じゃん!とお店にいってもう一つもらってきた。そのアメも当たっていた。お店に戻って当たりを見せるとおばさんがちょっと引いていた。私が新しいアメを引く前にアメの箱を一度かき混ぜたぐらいだ。で、もう一つ選ぶとなんとまた当たり付き。正直私も怖くなり、一緒にいた弟に次のアメを選んでもらうと、ようやくハズレだった。

 あれ以来、やっぱり当たりはでなくなった。


 平凡な日常生活を送ってるけど、誰もが一つぐらいはそんな不思議な話をもっているのではないかと思う。これ、二つとも私の経験談です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る