第5章 門出

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 「そうねえ。

結局招待するのは家族だけってなるよね。

はす向かいで、

玄関出れば顔を合わせられるのに、

わざわざ結婚式場予約して、

結婚式場で挨拶するなんて、

無駄使いとしか言いようがない。」


 「俺は、沙恵さえちゃんさえ良ければ、

式はあげなくてもいいと思うよ。」


 「もちろん、私だって、

式とか、

面倒くさいことはちょっとあれかな。

そんなことに使うお金なら、

二郎じろうの病院の開業資金に

充てた方がいいよ。」


 「俺、開業するって、決めたよ。

もう後戻りはしない。

…一緒に生きていこう、沙恵ちゃん。」


 そう言うと、

奥手なはずの二郎が

沙恵を抱き寄せて、

膝を曲げてキスをした。


 ファーストキスだった。

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