第2章 再会  第2節 楽しい食事

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 「…私ね、

…会社、辞めようと思ってるの。」 


 トングで上カルビをひっくり返しながら

沙恵さえが言った。


 「え?そうなの?頑張ってたのに。

…合わなかったか。」


 「セクハラ上司にパワハラ上司、

出来ない同僚たちにウンザリしたのよ。」


 「あはは、

相変わらず強気だな、沙恵ちゃんは。」


 沙恵がトングで、

火の通った上カルビを二郎じろうの取り皿に乗せた。


 「60億円が

何者かによって振り込まれたことも、

今すぐ会社を辞めろ、

という神様の思し召しなんだと思うわ。」


 「あはは、そうかも知れないね。」


 沙恵はしゃべりながら、

甘口のタレを付けた

上カルビをチョレギで巻いて

口に入れた。


 二郎も沙恵と同じように

チョレギで巻いて上カルビを食べた。

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