第9話 ジャンクフードの王道、ハンバーガー

【ジャンクフードの王道、ハンバーガー】


『ロベルト、エレーヌ。今日はね、満を持して“料理人”とっておきの料理を作るよ!』


『お坊ちゃま、お肉やグラノラよりも美味しいんですか?』


『期待して待っていてよ』



 今日は、ジャンクフードの代名詞を作る。

 それはハンバーガー。

 一説によると、ハンバーガーの消費量と、

 前世アメリカ合衆国のメタボ増加は比例しているという。


 ただ、僕が作っているパン。

 フランスパンみたいなので、少し食感が違う。

 が、現状ではこれしか選択肢がない。

 パティとパンズだけでは栄養バランスが悪いので、

 レタスとトマトに似た食材を挟む。

 野菜はマシマシだ。


 こうなると、ジャンクフードとはいい難い。


 ジャンクフードは、高カロリー、高塩分で、

 ビタミンやミネラルや食物繊維があまり含まれない食べ物。

 エンプティカロリーというやつだ。


 だけど、そういう食べ物だと、前世の繰り返しになる。

 メタボは避けなければならない。

 そのためにも、栄養チェックは欠かせない。

 言葉が矛盾しているみたいだが、

 健康的なジャンクフードはマストだからな。



 ソースはトマトソース。


 この世界のトマトは、イタリアのトマトに形が似ている。

 味は甘味と酸味のバランスのいいもので、

 中身も密度が濃く、なかなか質が高い。


 生で食べても煮てもいい。



『坊っちゃん、かぶりつくとハンバーガーから肉汁が大変なことに!』


『肉のくどさが野菜で中和されるのですね』


『穀物、野菜、肉が一度に味わえるわけですか。毎日でも食べたい料理です』


『お坊ちゃま、ハンバーガーのエンチャント効果が凄いですよ!』


 ハンバーガーをたべ終わったエレーヌが驚きの声を上げる。


 僕もすぐさま自分のステータスを見てみた。


  氏 名 ジュノー・クノール

  年 齢  6 性 別 M  種 族 人族

  祝 福 料理人

  ステータス

  ○筋力  51(+100)

  ○体力  48(+100)

  ○速度  52(+100)

  ○知力 594(+100)

  ○精神 525(+100)

  ○意思 272(+100)


  スキル 料理(料理大全、料理エンチャント)、

      4属性魔法、吸血、魔道具、

      狩猟(探査・気配操作、マジックバッグ)

  特 記 料理エンチャント


 ハンバーガーのエンチャント効果は

 基礎ステータス+100ということだ。


 熟成肉を食べたときにもエンチャント効果があった。

 あのときは+20。

 今回は一気に+100だ。


 その後、いろいろ試してみたのだが、

 現状では、


  エンチャント効果は24時間保つ。

  効果は重複しない。

  単品だと効果は+20。

  特定の食品は+100。

  ※焼肉とハンバーガーの場合、

   ハンバーガーの+100のみ付与される。



 これで一気に僕のフィジカル不足が解消された。

 頷けるものがある。

 

 料理人は体力勝負の面が大きい。

 長時間労働、重労働、危険な職場である。

 料理人に女性が少ない理由でもある。


 地味だが、僕の基礎ステータスもジリジリ上昇している。

 確か、少し前まで筋力・体力・速度は約40だったはずだ。

 それが、今や50前後にまで上昇している。


 この数字は、10歳ぐらいの平均値だ。

 小1が小4程度の基礎体力を持つ。

 これも、“料理人”の力であろうか。


 エンチャント効果の他に、

 基礎体力を地味に引き上げていく効果があるようだ。



 ただ、困ったことも起きた。

 あまりに体力全般が強化されすぎて、

 体に馴染めないのだ。

 例えば、なにげに扉をあける。

 力をこめすぎて大きな音をたて、みんなに驚かれる。


 これは他の二人も同じで、

 三人ともが部屋のいろんなものを壊しまくっている。

 一週間ぐらい体を適用させるのに苦労した。


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