第53話 一蓮托生(3)

どうやって正体を探るのかどう対策をするのか様々な事を想定し家族で話し合った。

家族が一致団結すれば何とかなる、一緒に乗り越えていこうと誓った。


「颯さん、白龍様に相談してみたらどうですか。力を貸してくれるかもしれません。」

「うん、私もそれは考えていた。すぐ声を掛けよう。」


「「久しぶりに白龍様に会えるんですか?!うれしい!」」と、仁と天は大喜びだ。

仁と天は高校一年になった。白龍様に会ったのは、昨年の中学校での幽霊騒動以来だ。


白龍様にまだ会った事が無い両親と兄一家も良い考えだと言ってくれた。

「私達はまだお会いしたことが無いから、とても楽しみだわ。」と、母が言い、

「私も、初めて龍神様を見る事が出来るんですね。」と、結芽もワクワクしている。


「俺、緊張してきた!」と、兄も宣う。

「「わーい!僕たちも会えるんだね!」」と、紬と爽も喜んでいる。


「白龍様に助言をして頂く為に呼ぶんだからね。ちゃんと皆で感謝の気持ちで迎えてよね。」

少しキレ気味に言った私を見て家族は静かになった。颯さんは苦笑している。


「フフ。皆と居ると心が軽くなるね。ありがとう。」と言ってくれた。

「颯さん優しすぎです…。」と、私はちょっぴり不満だったが手打ちとした。


それから、今まで食事をしていた場所を綺麗に片付けてササッと掃除をし、奏白様をもてなそうと、綺麗に拭き上げたテーブルに、コップに入れた霊水と浄めの塩、日本酒の一升瓶と一合枡も用意した。家に有ったありったけの新鮮な野菜と果物、お菓子、今日採って来たキノコやアケビの料理も器に新たに盛りつけた。両親、兄夫婦、子供達はきちんと正座し、白龍様を迎える準備が出来た。


そして私が白龍様を呼ぶ為”龍神”を吹いた。暫く吹いていると、『吾を呼んだか。明日香よ、久しいのぅ。』という声が徐に聞こえ、突如目の前にドアップで現れた奏白様に私は危うく悲鳴を上げる所だったが、何とか飲み込んだ。奏白様は身体を小さくして此処に入ってきたようだ。


「そう・・・ごほん!白龍様、お久しぶりでございます。」

白龍様の真の名前を危うく言いそうになってしまったが、皆には言えないので慌てて誤魔化した。


真の名前を知られると云う事は、知られた相手に支配されると云う事だと以前颯さんに教えてもらった。なので、秘密にしないといけない。


家族はというと、奏白様のあまりの気高さと美しさ、神々しさに全員あんぐりと口を開け、ただただ見つめていた。


私と颯さん、仁と天は面識があるので懐かしく挨拶を交わしたが、家族は奏白様に初めて会ったので、この反応は仕方ないかもしれない。


「初めて白龍様にお会いすることが叶い、感謝申し上げます。」父が我に返り最上の礼をする。

父がそう挨拶をすると、続けて「ありがとうございます。」と、全員その場にひれ伏した。


それを見つめていた奏白様は気品あふれる声で『良い良い。皆楽にな。』と言ってほほ笑んだ。

その言葉で少し緊張が取れたらしく、皆ほっとした顔をしていた。


「白龍様。心ばかりの物を用意いたしました。お召し上がりください。」と、私と颯さんが奏白様に話しかけ、皆も「どうぞ、お召し上がりください。」と勧めた。


『ほほ。美味そうな物がたくさんあるな。では遠慮なく戴こう。皆も一緒に寛ぐが良い。』と言って、早速酒を飲み始めた。龍神様は酒が強いと聞く。足りなくなる事を懸念しつつも一緒に楽しむことにした。


「白龍様。昨年は子供達を守って頂き有難うございました。あの時は子供と颯さんはお会いしたのに、私は会えませんでした。会ってお礼が言いたかったです。」


『明日香よ。子供達は良い成長ぶりじゃな。其方等夫婦だけでなく、周りの家族の助けがあってこその成長じゃ。これからも家族仲良く精進するが良い。』

「はい。本当に家族には助けられています。感謝しかありません。」そんな会話を両親も兄夫婦も嬉しそうに聞いていた。


『して、今日吾を呼び出したのはどのような事でじゃな?』

「はい、じつは・・」と、今日の出来事を父が不動様から言われたことも含めて私と颯さんで順を追って話した。それを奏白様はじっと聞いていた。話を聞き終わり、奏白様は暫く考えてから口を開いた。


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いつもありがとうございます。本日短いです。

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