守護精霊アリエル

「こ、これはいったい…………」


眩い光りに神父さんも手で目を覆いながら戸惑いと驚きの声を上げました。


「シオン!無事か!?」


この光に驚いて家族が飛び込んできた。


「大丈夫ですが、何がなんだか…………」


『お騒がせして申し訳ありません。私はこの国の守護精霊アリエル』


急に空中に翠色の髪の長い美しい女性が現れた。


!?


このアガレス王国の国教にもなっている精霊教が崇める神様じゃないですか!

みんなが固まっていると、アリエル様が続けた。


『シオンはさぞ驚いたことでしょう。5年前に亡くなったシオン皇后の功績を称えて私が、転生させたのです』


!?


この方の采配だったの!?


「えっ?アリエル様、どういう事でしょうか?」


家族には秘密にしてましたからね~


「えっと、ごめんなさい。実は死んだシオン皇后様の記憶があるのです」


「「えっ?」」


『シオン皇后のお陰でこの国は救われました。その御礼をしたかったのです』


「いやいや!たいした事はしてませんから!それに夫である皇王陛下のおかげですよ?私一人の力ではありません!」


『そういう謙虚な所も好感が持てますね。ここにいる者達は関係者ですので真実を語りましょう。40年ほど前にこの辺境で火山が噴火しました。その原因は火山で眠っていた古龍種・火炎龍王フレイムが目覚めようとした事が原因でした』


!?


「火炎龍王!?」

『完全に目覚めるとこの国は滅んでいたでしょう。私は持てる精霊力を使い、再度眠らせる事に成功しました。しかし、それで力を使い果たしてしまいました。火山噴火により、この辺りに【火山灰】が降り注ぎ、作物が全滅したのは記憶に残っているでしょう』


「オレ達が産まれる前の事だが、親父達から何度も聞いたよ。未だに農作に向かない土地が人手不足で手付かずになっていますので」


『力を使い果たした当時の私には、土地を浄化する力が残っていませんでした。しかし、当時のシオン王妃はこの辺境の地に多大な援助をしてくれました。的確な土地の開墾や数年は収穫の見込めない辺境に大量の食料の提供などをして、この辺境は大きな混乱もなく立ち直りました。土地を守護するものとして御礼を申し上げます』


あらあら?照れますわ♪


『照れないで下さい。これは私の為でもあったのです』


心を読まれたーーー!!!!

ガクブルッ


『私の力の源は信仰心です。シオンのおかげで人心が離れず、私の力も想定より早く力が戻ってきました。だからその御礼です。第二の人生をどう生きるのかはあなた次第です』


「ありがとうございます。アリエル様」


素直にシオンは頭を下げた。


『最後に、屋敷の裏の森を探索してみて下さい。良いものが見付かるはずですよ♪』


良いもの?なんだろう???


『では良い人生を!偉大なるシオン皇后の魂に精霊の祝福を!』


またパーーーっと眩い光に包まれると辺りは静かになっていた。


シオンの指にはアリエル様の力の込められた【指輪】がはめられていました。


周囲の人々は呆然と消えたアリエル様の場所を見つめていたのでした。

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