第7話 結果発表


  トトビッグの結果が出る日の朝、進のスマホに『結果が出ました』とメールが届いた。  進は、朝から急ぎの仕事を集中して済ませて10時前にメール確認と一緒にネット銀行を開いた。


――いつもと違ってやけにドキドキする。どうしたんだ。本当に当たるのか?

いやいや、そんなに世の中はあまくないだろ。特にぼくの人生いつもそうじゃないか。


 進は、いつもはどうせ外れるだろうとあまり気にもせず見ていた当選結果履歴をガタガタと手を震わせながらクリックした。


――あっ、天使が降りてきた。やったか?


画面に『おめでとうございます』の文字が踊り、天使がたくさん降りて来て飛び回った。何等かまだわからないが何か当たっているようであった。進は、各試合の当たりの赤丸を上から順に確認した。


――うぉー、まさか、全部? まさか全部? 全部?


  30口買ったうちの一口が 14試合、上から下まで勝ち負け引き分けをおりまぜて全て当たっていた。


――マジかあ、6億円? そんなのあっていいのか? リアストで書いたから当たった? 芽衣子さんが当たらせた? 夢で小説書けと言われただけなのに。


進のドキドキは最高潮になり、今にも心臓を突き破りそうだった。頭の血管も再び破れるのではないかと不安になった。


――週末には6億円長者かぁ。困ったなぁ、どうしよう? 会社辞めるにもまだ仕事たくさん残っているなぁ。そうだ、そうだ、急に会社辞めたら勘ぐられるな。相当親しい人にしか当たったことは言ったらダメだって言うしなぁ。 妻にはどうしよう? 言うべきか? とりあえず今日は黙っていよう。黙っておくことが出来るかな?


 などと進は、思いを巡らせ、またドキドキが酷くなってきた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る