英語の教科書のケンとメアリーが時速80kmで走ってきたトラックに轢かれて異教科書転生 ~この時に受けた衝撃を求め、トラックの気持ちを答えよ~【一話1000文字】

Shiromfly

Lesson 1 「ケンとメアリー」

※諸事情により、全て日本語に訳された状態でお届けしています。



ケン:「やあ、こんにちは。メアリー。今日もいい天気ですね」

メアリー:「こんにちはケン。ええ、とても素晴らしい天気でワクワクします。今日は何をして遊びますか?」



ケン:「私によい考えがあります。公園まで歩いていきましょう」

メアリー:「まあ、素敵ですね。途中で美味しい食べ物でも調達しましょう。それはまるでピクニックのようです」



トラック:「なんてことだ!ブレーキが破壊されて、減速ができません!」


メアリー:「なんてことでしょう!ケン、背後を見てください。危ないので避けた方が良いのではないでしょうか!」

ケン:「え?それは大変ですね。わかりました。私はこの緊急事態を回避するべく、行動を起こします!」



ケン:「これは大きな失敗です」


メアリー:「ケン!いやー。ケンが轢かれてしまいました。普段の運動不足がこんな悲劇を生むなんて、信じられません。ケンの足は咄嗟のジャンプに耐えられず、ぐにゃりと曲がってしまいました。それは捻挫です。そして、今は足だけではなく、全身の部位がありとあらゆる方向に曲がってしまいました。彼は致命傷を負ってしまったのです」


ケン:「私は死にそうです。君と出逢えて幸せでした。メアリー。私は忘れません、君と出逢った日のことを。あの日はとてもいい天気でした。学校の階段から降りてきた君は、まるで天使のよう。明るく黄色いワンピースと、黒のリボンは蜂の様でもありました。あの瞬間、私は君に恋をしたのです。ああ、メアリー、可愛い私のハチミツちゃん……」


メアリー:「ああ、ケン!そんな。おお、神様」


ケン:「動揺しないでください。メアリー。そして気を付けてください。君は道路の真ん中で倒れている私に駆け寄ってきてくれました。その心配はとてもありがたいことです。しかし忘れないでください。君は今、道路の真ん中に居ます」


トラック2:「危ない。少し目を離していたので、トラックの走る先に倒れている男性と、それを介抱しようとする女性の存在に気が付くのが、僅かに遅れてしまいました。このままでは二人もろとも轢いてしまいます。私はクラクションを鳴らします。ビッビー。効果はなさそうです。手遅れです」


ケン:「メアリー。後ろを見てください。非常に危ない状況です。後ろを見ろと言ってるんですメアリー。このビッチ。たまには私の言うことを素直に聞いた方が良いと思います。ちやほやしてたら調子に乗りやがって。あなたは死人を看取って涙を流す自分に酔いしれています。ああ、もう間に合わない。間に合わない――」



――――――――――――――――――――――



 たかし君は、家から二km離れた小学校へ、時速三kmで向かっています。


 家を出発したのが七時半の場合、学校に到着するのはいつでしょうか?


 また、途中で異教科書転生してきたケンくんとメアリーさんが突然通学路に現れた場合、たかし君の登校は何分遅れるでしょうか? 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る