地下鉄

7時50分

地下鉄にて

靴底が朗読する大雨


空は見えないのに

地下鉄は天気に詳しい

気温も君よりは

かなり正確に知っている


7時51分

地下鉄にて

靴底が朗読する大雨


ただ天気は

予想できなければあまり意味がなく

だから地下鉄は

その能力を持て余している


そんな嘆きを聞きながら待つ

いつも均一に薄暗いこのホーム

誰にでも聞こえる声で

地下鉄は話しているのに

スーツを着た大人たちは

その声を、その能力を、

持て余している

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