えほんおとな短編集

めぐみかなえ

第1話みんなみんな

みんな みんなドラフト 変わり悪魔六柱シリーズ1


とある町の

大きな家に住む小学4年生のミユちゃんの御話


ミユちゃんの

おうちは お金持ち

欲しい物は パパやママが何でも買ってくれます


パパとママはお仕事で

あまり家にいないので

お手伝いさんがいました


最初はさびしかったミユちゃん

でも友達のパパやママが

うるさいところを見ているので今は平気になりました


ミユちゃんには友達が沢山います

ミユちゃんには何でも言う事を聞いてくれる

お手伝いさんがいます


ミユちゃんには当たり前の世界


周りの友達からは

うらやましい

凄い

色々な物をくれるミユちゃんは人気者


そう思っていた毎日


あの夢を見るまでは、、、。


とある夜にミユちゃんは夢を見ました


夢の中は明るい虹の世界

そこには一匹のネコがいるだけの夢


不思議な事は


なんて綺麗な世界だろうと思った時に起こりました


夢のネコが話はじめました


「ようこそ、ボクの世界に。ボクはミユちゃんの

したい事を叶える事ができるよ。ミユちゃんには本当の友達が沢山いて、本当に何でも出来ているのかな?ボクには、そうは見えないよ。試しに友達にプレゼントをあげたりするのを止めたら?本当の友達なのか分かると思うよ。間違いだったらボクが君に なんでも叶うチカラをあげる。ただしチカラをあげる代わりに君の心をくれるなら。」


朝になりミユちゃんは

おかしな夢だったなぁと思ったものの

学校に行きました


ミユちゃんの友達からは

下敷きが かわいいからちょうだい!

と言われましたが、夢を思い出して

あげないことにしました


友達は「もうミユちゃんは嫌い」と言い残し

少しずつ友達も減り続けました


ミユちゃんには本当の友達はいませんでした

みんなミユちゃんが物をくれるから

周りにいただけ


そう思ったら涙が溢れてきました

家に帰ると

「ネコちゃん!お願いがあるから出てきてぇ」と

叫びました


煙とともに

ネコちゃんが現れました

「ボクの言った通りでしょ!ミユちゃんには本当の友達なんかいないんだ。ボクのチカラが欲しい?」


ミユちゃんは迷うことなく

「欲しい!今すぐ!」


ネコちゃんはニヤリとした顔で

「ボクのチカラをあげる。ただしチカラを一度でも使ったら君の心をもらうよ。」


そう言うとネコちゃんから紫の光が出てミユちゃんを

照らしました


なんか変な感じがしましたが

ミユちゃんは ネコちゃんが言ったチカラは

なんだろう?と思っています


不思議な気持ちのまま

お手伝いさんが作った料理に嫌いなニンジンがありました。

ミユちゃんは「ニンジン無くなればいいのに。」

と口にした瞬間に


なんとニンジンが消えていました。

嫌なニンジンをわざと料理したお手伝いさんも

「いなくなれ」と口にすると消えてしまいました。


ミユちゃんは「わぁ!チカラって嫌な物、嫌な人を無くせるんだ!凄いチカラ!」と大満足。


ついでに嫌な友達も消しました。


ミユちゃんは嫌だと思っていた

八百屋さん、魚屋さん、先生達、嫌いなパンを作るパン屋さん、うるさいと思う人を消しました。


「これですっきりしたぁ」


ミユちゃんはとても気持ちいい。

だって嫌な物、人を無くせるんだから。


しかし満足した時間はわずか数日でした。


お手伝いさんを消してしまったので

お腹がペコペコです。


料理は初めてでしたが

ミユちゃんの好きなアジフライがありました。

熱くした油に入れたら出来る事は知っていたので

作りはじめてから、好きなゲームもしていました。

ついついゲームに夢中になり

キッチンから炎が出てしまいました。


ミユちゃんは涙目になりながら

消防士さんに電話しました

電話にでた消防士さんからは

「食べ物がなくて、みんな動けないんだよ!」

と、言われてしまいました。


その時にミユちゃんは

みんながいるから、みんなが暮らしていけたんだ。

自分は、なんてことをしてしまったのか

後悔しました。


食べ物屋さんがいるから

みんな仕事をしてくれた


消防士さんも食べ物屋さんがいるから

仕事が出来た。


みんな必要だから

みんな みんな そのままが いい事を知りました。


ミユちゃんは知らず知らずに叫んでいました。


「ネコちゃんお願い!出てきて!このチカラはいらない!」

再び煙とともにネコちゃんが現れました。


ニヤリとした顔で。


「ボクの約束は覚えるよね。チカラで消した物や人は元通りにするけど、ミユちゃんの心をもらうよ。」


ミユちゃんは みんな自分が悪いのだから仕方なく

うなずきました。


「ではミユちゃんの心をもらうよ。ちなみにボクの名前はワガマ。」

ネコちゃんは、再び紫色の光をミユちゃんから奪いました。


怖くて目をつぶっていたミユちゃん。


目を開けたら、ワガマは消えてしまいました。


代わりにお手伝いさんも現れ

元の世界に戻りました。


ワガマはミユちゃんから、ワガママな心を食べた

変わり悪魔でした。


それからは

ワガママなミユちゃんからは

ワガママな心は無くなり

こう思いました。


みんながいるから

みんなが必要だから

みんなのチカラがあるから


自分は恵まれていた事に気づけました。


嫌だと思っていた事は

必要だったのです。


ミユちゃんは、その後に本当の友達や

周りに感謝する人になり、みんなから愛される人になりました。


みんな みんな そのままがいい


おしまい

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る