第40話

「あらまあ『無神論者』さん」と。

 金城は刹那のうちに『システム』の団塊のいんえいにかくれる。『あいつ』だ。きっとすべては『あいつ』からおかしくなったんだ。こえはつづける。いわく「あなたのお父さんは『せき』をおこせなかったのでしたね。ゆえにあなたは『せき』をしんじなかった。そんなあなたが『せき』の『システム』をつくるなんてねえ」と。金城は『システム』の団塊から『相手』をやぶにらみしていう。いわく「ハンナばあさん。あの『組織』はあなたがそうしたのですね。あなたは戦争のために『システム』を売ってしまったのですね」と。逆光であんたんたる人かげとなっているハンナばあさんはこたえる。いわく「そうよ。『戦争』のために『せき』をおこさせてもらったの。『戦争』は素晴らしいわ。この世界から邪悪なる存在をけしさってくれるわ。神はあの邪悪なジブリール教徒たちをみなごろしにしてくれたのよ」と。げつこうした金城はつばきをとばしながらいう。「『戦争』に正義も悪もない。神は『戦争』という金持ちたちの遊戯に手をださない。それは『神』とはよばない。『悪魔』というんだ」と。冷静沈着なる声色でハンナばあさんはいう。いわく「あなたはおかしいわ。これからおこることを御覧なさい。あなたも『神』のこころを納得なさるでしょう」と。ハンナばあさんは『主よ人の望みの喜びよ』をくちずさみはじめた。だった。

 ツインタワーの上階でごうぜんと爆発音がひびいた。

せき』から一〇年目の九月一一日のことだった。

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