第28話

 部隊員は金城に拳銃をむける。

 グロッグ社製のハンドガンだ。金城は覚悟する。おれは死ぬのか。といえども真実のためならば死ぬくらい――。ぼくとつなる英語で金城はつたえる。いわく「わたしはあなたに反撃するつもりはない。ただしあなたがたのいう『研究結果』をわたすわけにはいかない。充分にはなしあえば理解できることだ。これは人類の運命をかけた問題であり――」と。くだんの部隊員は金城のふつこうを銃撃した。へきれきたる銃声とともに白銀の銃弾はせんをえがき金城の脇腹をつきやぶる。はくいろやつきようが明滅しながらしようりゆうりようと床面に墜落する。部隊員は金城の右手を掌握しがら張りの実験室の指紋認証システムに親指を肉薄させた。とびらはひらいた。ロックが解除されるとくだんの部隊員とふたりの部隊員が実験室に侵入し『システム』と端末および全研究記録がほうされたPC群をろうだんした。三人の部隊員が実験室からでてくると部隊員は七人でふたたび関係者たちに銃口をむけ『証拠』をいんめつせんとした。ふたたびれん色の警報ランプが明滅し警報音がめきはじめた。沈黙した七人の部隊員のうちふたりが先頭をばくしんしのこりの五人が関係者たちに銃口をむけたまま『部隊』は研究室から廊下へととんそうしていった。金城ひろがときおりおうしながらしんぎんしている。

『部隊』のゆくえはだれにもわからなかった。

 ただ『システム』はたしかに『部隊』に掌握された。

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