第16話

 しゆうしようろうばいした金城ひろはこたえる。

 いわく「神様や仏様が本統に存在するのかはわかりません。せきがおこるかおこらないかもわかりません。せきがおこるかおこらないかをたしかめるために今回の実験はおこなわれるのです。おそらくせきはおこらないでしょう。が万一せきがおこった場合にはわれわれ研究所の『システム』でせきの要因がわかるかもしれません。万一ですよ。万一そんなことがあれば宗教も科学的に無意味ではなかったというはなしになるわけです――」うんぬんと。けんえんたるがんぼうになったキャスターがなおもマイクをつきつけて尋問する。いわく「なにもわからないような状況で『実験』をなさるわけですか。『実験』などとよばれたら遺族のかたがたも遺憾ではないでしょうか――」としたところでかいわいてきちよくしていた遺族たちからひとりの女性が絶叫した。また厄介なやつだろうか。金城やTVクルーがかえりみると極寒の公園の片隅にりゆうかなえがしようりつしていた。きよしているりゆうかなえはれん色のそうぼうでTVクルーを凝視してほうこうする。「『実験』でもなんでもいいんです。万にひとつでも億にひとつでも一鬼がかえってきてくれたらいいんです。一鬼かえってきて。一鬼の教科書もそろってるんだよ。一鬼は立派な小学生になるんだよ」と。

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