第11話

 すべてはこんとんとしていた。

 ひとりでもおおくの命をすくわねばならん。出来ればおれの家族もまもらねばならん。しやはんの新潟市内のこんとんちようかんしていた金城大尉はかいなるスサノオノミコトを操縦しみずからの生家たる木造家屋を目指ししようしていった。神聖なるスサノオノミコトの『精神世界』にて金城大尉はスサノオノミコトそのものに物語る。「ミコトよ。最後に力になりたもうて有難く存じます。わたくしめの非力によって南蛮の天使を討てずにもうしわけありません。ですがミコトのかげでわたくしめはわたくしめなりの最善をつくせました。わたくしめは新潟市とともに死ぬ覚悟も出来ております。ゆえにミコトのひやくがいきゆうきようまでこうきよなさしむるわけにはまいりません。ここでミコトとのこんぱく接続を解除させていただきます。失礼いたします。大日本神國万歳」といい透明ななみだをながす金城大尉が『こんぱく接続』を解除せんとしたこうまいなるスサノオノミコトは金城大尉に物語った。ミコトののたまわく『なんじは万事よくこなしたり。斯程勇ましききゆうはほかにあらむや。朕はなんじをば気にいりたり。おそらく朕はふたたびあのミカエルなるものと戦ふらむ。朕はにしてもあの天使なるものをゆるせざり。いんには金城大尉よまたなんじとともに戦はむ』と。りんたるなみだをながしていた金城大尉はからくれないの鮮血にまみれた左手の甲でなみだをぬぐいこたえた。いわく「ミコトよ。なればそのときは――」と。中途で沈黙した金城大尉にミコトののたまわく『そのときこそ朕も死する覚悟なれ』と。スサノオノミコトはつつがく大地に着陸し金城大尉はしゆこうして『こんぱく接続』を解除した。まんしんそうのスサノオはふたたび量子力学によって粒子状態から波動状態の神性エネルギーへと還元され金城大尉はさつそうと地上に降りたった。金城ひろは実家へばくしんする。実家のまえには実母と祖母がてきちよくしていた。ひやくがいきゆうきようを火やけどさせたまま金城大尉はいう。「母さん。ちゃん。逃げるっけんな。これから『天罰』がはじまるっけん」と。金城ひろの実母しのぶは両手のひらをくちもとにあてて喫驚する。「ひろ。あんた。体は大丈夫んがあか」と。金城大尉は実母と祖母の手のひらを両手で掌握してする。

「そんなことよりもいますぐここ――――」と。

 せんこう』が走った。

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