　スタル村の武器屋はこじんまりとしていたが品揃えはしっかりしていた。布製品を扱う店も併設しているようだ。

「いらっしゃい！今日は何をお探しかね？」

「あー、とりあえず剣を二本お願いします。あと片手で扱える盾。それと、こちらの女性に合う弓があれば」

「はいよ！」

「それじゃ、私たちは服を見てくるわ」

　マリーはセフィリアと一緒に女性用のコーナーに向かっていった。

「はいよ、これなんてどうかな」

　親父が差し出したのはやや細身の剣で、刃渡り70cmほどの片手持ちのものだ。鉄の剣でもわりと軽いものらしく、俺やマリーでも扱えそうだ。

「ちょっと持ってみてくれるかい」

　言われるままに受け取る。軽くて振り回しやすいな。重さ的には問題ないな。

「うむ、悪くなさそうですね。いくらですか？」

「あぁ、小銀貨1枚と大銅貨２枚だよ」

　いまいち物価は分からないけど、安い方……なのかな？　とはいえ、これを一本買ってしまうと他の装備に回せるお金が足りるのか不安だな。小銀貨は大銅貨10枚分だから買えないことはないけれど。

「う～ん……」

「兄さん、盾もいるんだったな」

「えっ、あ、はい」

　丸盾は壊されてしまった木の盾に鉄で補強したものと、なんらかのウロコを貼って補強した盾の二種類を紹介された。鉄で補強した方が物理的な固さはあるが、ウロコで補強されたものは熱や水気にも強いそうだ。前者の方が大銅貨７枚で後者は小銀貨１枚だ。

　大銅貨が今のところ枚数が一番多いから所持金を全て大銅貨で換算すると39.4枚だな。剣は一本あるけどけっこうボロボロだから確実性をとるなら買い替えたい。剣二本と盾一つで合計31枚か……。

「弓とか防具が買う余裕あるか……？」

「服はこれでいいかな」

　悩んでいるとセフィリアが一着の服をもって戻ってきた。鑑定してみると魔風花染めの服と表示された。風属性の魔力の行使を安定させる作用があるらしい。色も黄緑色でセフィリアが今着ている服とも近い色合いだ。値段は大銅貨6枚か。やっぱりお金が足りないな。

「弓はこんなのがあるがどうだ？」

「ちょ、ちょっと大きいわね……。扱いきれないわ」

　セフィリアが持っていたスキルは短弓術だったはず。この店にあるのは長弓ということか。お値段も張るし、どのみち買うのは無理だ。

「盾は鉄で補強したものを買う。剣は……一本買って、今あるやつは研いでもらおう。それからセフィリアの服だな。大銅貨換算で25枚ってことは……」

　小銀貨２枚と大銅貨５枚を渡す。所持金は小銀貨１枚と大銅貨、小銅貨がそれぞれ４枚か。宿代とか食費がさほどかからないとはいえ、けっこう心もとないな。取り敢えずいい買い物はできたな。

「ありがとうございました」

　お礼を言ってお店を出る。目指すはフレッサの街。エッグベアー出現をギルドに伝えなくては。

「さぁ、行こうか」

　俺たちはスタル村を出て、フレッサの街を目指して出発した。

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