雨漏りと来客

 場所は2階建ての実家で、私は子供の姿でいる。

 実際の私は実家から離れて暮らすいい年の大人だし、私が女児の姿だというのに年の離れた兄はなぜかいい年の大人の姿でいる。本当はそこまでは離れていないので私が女児なら兄もまだ未成年のはずだ。


 1階には祖父母が元気に生きていて特に祖母が元気そうだった。実際の祖父母はもう亡くなっているし祖母の方は全然元気ではなかった。母の姿は見えなかった。

 いろいろと考えると不思議なことはあるものの、夢の中なのでそのへんはなっている。夢の中の設定は一期一会。



 来客があった。私は2階で階下の音を階段の上から聞き耳を立てている。兄と父が買い物に行っていて来客とともに帰ってきたようだった。

 兄が先に階段を登ってきて、父が階段の真下(階段の下ではなく階段の位置から真下にあたる1階の別の場所・実際の場所ではそうではない)から「雨漏りしてる」と大きな声で言っているのが聞こえた。


 私は下に雨漏りしてるなら上からもしているのでは?と真上の位置を探ると頭にぴちょんと大きな雨粒が当たった。冷たかった。

 階段を登ってきた兄に「ここから雨漏りしてるよ!今落ちてきた!」と言うと、兄もそこへ来て雨粒を頭に受けた。すると兄がばったりと倒れ伏した。あれ?おかしいな。揺り起こそうとしても動かない。麻酔薬でも受けたように兄は全く動かなくなってしまった。



 父を探しに1階へ向かう。父の姿はなく来客だけがいた。

 

 私は困って祖父母の部屋に行く。祖父は布団で寝こけていて、祖母はノートを開いて日記を書いていた。付近にはガラケーがばっきり折れて2つに分離していた。

 

 私は祖母に話しかけようと口を開いたが声が出ない。ヒューヒュー喉が鳴るだけだ。声が出ないとジェスチャーで祖母に伝えるとノートと鉛筆を渡された。空いているページを探して筆談にチャレンジするが、なぜか文字が書けなくなっていて意味のある文字が書けない。ひらがなの形がわからなくなって書きたい気持ちはあるのに書けなくて焦るばかりだった。


 キッチンにいた来客が「何書いてるんだ?」とやってくるが、私の書いたぐちゃぐちゃの文字を見てゲラゲラ笑っていた。来客の顔はナ〇パに似ていて好感を持ったが(私はハゲと体のでかいおじさんが大好きなので)、もしかして危ない人なのかな?危ない状況なのかな?と祖母の顔を見ると祖母も焦った様子だった。

 

 来客の目を盗みながら祖母が電話を使い通報できるようにしなければ…そう決意をかためたところで、現実の家のチャイムが─ピンポーン─と鳴って目が覚めた。びっくりした。



 来客の予定はないのに誰だろう。

 ちょっと出てくるね。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る