無能だからと実家を追いだされ底辺をさまよってる冒険者だったけど、ユニークスキル【魔眼】が覚醒したので無双してみる~え? 歓迎してやるから家に帰って来い? お断わりします~
第17話 身近な人が優秀だと影響をうけがち
第17話 身近な人が優秀だと影響をうけがち
ミーシャが成仏したのを見届けた僕は、アンデッドドラゴンの胸から大きな魔石を取りだした。この前のゴブリンキングの魔石と合わせれば、しばらくは働かなくても暮らしていけるかもしれない。
魔石以外の素材も採取しようとしたが、魔石をアンデッドドラゴンから取りだした途端に、アンデッドドラゴンの肉体は腐り落ちてしまった。
おそらく、肉体は魔力で強化されていただけで、実際にはかなり風化していたんだと思う。
こうして、僕は緊急依頼を達成し、フレアの家に戻ることとなった。冒険者ギルドには依頼達成の報告をしなきゃならないが、今日はもう疲れた。
明日行けば問題ない。
◆❖◇◇❖◆
「ただいま」
「おかえりなさい。今日は少し遅いのですね」
帰宅すると、フレアが出迎えてくれた。奥からはなにか美味しそうな匂いがする。
「ちょっとギルド長から緊急依頼を頼まれてしまったからな」
「緊急依頼? つまり、金級冒険者にケンカを売ってしまったあなたが危険だとみなされ、あなたが確実に生きて帰れないような難関依頼を押し付けたわけですか」
「いやいや、なんでそうなる。ギルド長のマルスさんはそんな人じゃないぞ」
「そうなのですね。夕飯は作ってあるので振舞いたいところですが……まずはお風呂に入ってきなさい。あなたからは不浄な香りがします」
「ああ、墓地に行ってきたからな。鼻が完全に麻痺してたから気づかなかった。じゃあ風呂に入るよ」
風呂から上がると、フレアから振る舞われた料理を堪能する。今日はオークのステーキ肉にサラダ、エール、固めのパンなどだった。
シルには魔石が与えられている。ガーゴイルは魔力がエネルギー源だ。シルは魔石を砕きながら、口の中に取り込んでいる。
「シルはかなり頼りになるよ」
「当然です。なにしろ、この私が作ったのですから」
フレアは誇らしげに胸を張る。
「それで、あなたがギルド長から受けた緊急依頼とはどんなものなのです?」
僕は緊急依頼を受けた経緯と、ミーシャやアンデッドドラゴンのことをフレアに話す。
「なるほど。ミーシャという幽霊のスキルが変化していたというのは興味深いですね。私も一緒についていけば良かったかもしれません」
「ついていくって言われても。フレアって強いのか?」
彼女が戦っているところを見たことがないため、その辺のことを僕は知らない。彼女はいつも部屋にこもって魔道具を作ってるイメージが強いからな。
「それなりに戦えますよ。自分で魔道具の素材を取りに行くこともありますし。あなたは【鑑定眼】が使えるのでしょう? 特別に見て良いですよ」
「ならお言葉に甘えて」
僕は遠慮がちに彼女のステータスをのぞく。
―――――――――――――――――――――――
フレア・バラード 16歳 女 人間
Lv76
攻撃530
物理防御252
魔法防御600
保有スキル【魔道具作成Lv8】
保有魔法【錬金術Lv5】【魔法コピー】【魔力感知】【クリーン】【蒸留】【液状化】【魔法付与】【ポーション精製】【合成Lv3】【分解Lv4】【思考力向上】【並列思考】【魔法回路生成】【魔力操作Lv3】【魔素変換】【高速睡眠】【電解】【魔力制御】【魔導】【疑似生命作成】【魔導炉生成】【魔法金属精製】【賢者の石作成】【永久機関】
称号【賢者】【禁忌】【虹彩異色】
―――――――――――――――――――――――
いや、強くね!? 魔法数がえげつないし、勝っているのは攻撃力くらいだ。
「どうしたらこんな風になれるんだ……」
「私の場合、魔法職ですからね。戦闘を行わなくても、毎日限界まで魔力を使っていればレベルは勝手に上がっていきます」
そうか。魔法系統のスキルは別に魔物と戦闘をする必要はないものな。だとしても、16歳でこれほどレベルをあげるなんて素直にすごいと思う。
「僕ももっと強くなりたいな」
彼女と肩を並べるくらいには。
「? なにか言いましたか?」
しまった。頭で考えていたことを思わず口にだしてしまった。
「いや、さっきの夕飯美味しかったなぁと」
「お気に召したのなら良かったです」
ふぅ。なんとかごまかせた。
「ところで、あなたに依頼があるのですが、良いですか? もう冒険者ギルドには指名依頼としてだしてしまったので拒否権はありませんけど」
「拒否権ないって……。まぁ、どうせ特に予定はないから良いよ」
「ならお願いします。内容は魔物の素材の納品です。詳細はギルドで確認してください」
「分かった」
しかし、わざわざギルドで指名依頼してくれたのか。最近まで底辺冒険者だった僕を。指名依頼は普通の依頼よりも値段が高いことが多い。
おまけに、多くの指名依頼を受ければ、それだけ早く冒険者ランクを上げられたりもする。フレアさまさまだな。
「どうしたのですか、急ににやにやして。ついに頭がおかしくなってしまったのですね」
「そうじゃない。やっぱりフレアは女神みたいだなと思ってさ」
「め、女神ですか……」
フレアはうつむき、黙りこくってしまう。
「どうしたんだ? 顔が赤いけど」
「な、なんでもありません。とりあえず、もう寝ますよ!」
「早くないか?」
まだ夕飯を食べたばかりだぞ。
「そんなことありません!」
フレアは部屋の灯りを消してしまう。
真っ暗になってしまった。いったいどうしてフレアはこんなことをしたんだろう。僕は寝室に入り、考えてみたものの、結局よく分からなかった。
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