第30話

「おーい! おーい! 助けてくれえっ!!」


ひなとすえのぼうが笑い合う上から、小さな声


「おじいちゃん!」


「た、助けてあげないと……」


「すえのぼう、助けてあげて!」


「うん!」


すえのぼうの高い背、大きな手なら安心


小鳥たちも歌って導き


すえのぼうはおじいさんをそっと、おろしてあげました





「またね」


ひなはすえのぼうに手を振りました


おじいさんはぺこりと頭を下げました


ズシン、ズシンと大きな足音を立てて


すえのぼうはキー太と一緒に山へ帰っていきました





里の村人と山の鬼の一家


ずっと、ずっと、そのあとずっとあとに


ひながおばあさんになってから


お付き合いがはじまりました


ひなはずっと、ずっと語っていたのです


心やさしい泣き虫鬼のことを


すえのぼうもずっとずっとおぼえていたのです


ひなのやさしさを


今のいまでも、いつまでも



【おしまい】

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