第13話 大好物!揚げ物!

順調に体重は増えていった。55キロあった体重は73キロまで増えた。

太ることを決意してから3ヶ月が過ぎた。


元々料理は好きな方だった。だから、学生時代から時間がある時は、よくご飯の支度を頼まれていた。

数々の失敗もあった。でもそのお陰で、今では食べたい物をだいぶ作れるようになった。


「今日は久しぶりにトンカツにしようかな」


早速スーパーに行く。

最近では体重が増えて少し変わったせいか、アタシのことを気付く人は居なくなった。

危うく

「ねぇ、あの人モデルの樹里じゃない?」

「えー?違うでしょ。樹里はもっと痩せてるもん。そっくりさんとかじゃないの?」

「そうだよね、まさかねぇ」

と言うような、会話が聞こえた時もあった。

アタシは知らんぷりをし、その子たちの横を堂々と通り過ぎた。


さて、今日はトンカツ。豚ロースの厚切りをカゴに入れる。

今日はお肉の特売日らしく、他のお肉も通常より安くなっていた。

予定外だが思わず他のお肉も買うことにした。


お魚コーナーも回ってみる。

鯖も鮭も安い。

ついでたから、お魚も購入。


あとはいつもの菓子パンと、お菓子類と、デザートと、炭酸飲料。

底値ではあったけど、まとめて買ったらそこそこのよい金額になってしまった。

お金を多目に持ってきて良かった。


アパートに戻り、大量の荷物をドサッと床に置いた。

手洗い、うがいをして、冷蔵庫にパッパッと段取りよく食材を入れる。

入れ終わると一気に疲れが出てきたので、とりあえずシュークリームとサイダーで休憩。

シュークリームはビックサイズで、カスタードクリームとホイップクリームが中に入っていた。

アタシはカホカホの上の皮を取り、それにクリームを付けゆっくりと食べた。そして、時々サイダー。

口の中が最強に甘くなる。糖分が入ると脳の活性化にもなるから、料理の段取りも上手くいく。


さて、そろそろ作りますか…。

時計は夕方5時を回っていた。


まずはトンカツの筋切りをした。そしてお肉を肉叩きで叩いて、表面を柔らかくする。

塩、コショウを軽く振って馴染ませて置く。

その間に小麦粉、卵、パン粉を準備。

卵をよくかき混ぜ、少し小麦粉を入れて混ぜておくと、卵の付きが良くなる。

そして小麦粉、卵、パン粉の順で衣を付けておく。

フライパンに油を入れて点火。中~弱火にしておいてさい箸で油をかき混ぜる。箸に油がプツプツいってきたら、衣付きのお肉を入れる。

油の温度が高すぎると衣は剥がれやすくなるし、中は生焼けになる。それにお肉が縮んで固くなるから、アタシは油の温度が少しぬる目の時に、お肉を入れるようにしている。

これは揚げ物をしているうちに、何度も失敗して覚えたことだ。


小麦粉も、卵も、パン粉も残った。

今度は魚たちにも衣を付けよう。冷めたら冷凍して置けば、食べたい時に食べられる。

主婦の知恵だね。


おっと、考えてる間にトンカツをひっくり返す。危なくタイミングを逃すところだった。

最後は高音で一気に仕上げ。

今回も大成功!


鯖と鮭の切り身たちにも衣を付けて、油で揚げてバットの網に載せた。


ご飯がちょうど炊けた合図が鳴った。


キャベツの千切りをし、ワカメの味噌汁も作った。完璧。


我ながら完璧。


各々をテーブルに運び、

「いただきます!」


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