第6話
朝起きてステータスを見る。
フィール・バイブレーション
体力レベル 30(+18)
魔力レベル 20(+7)
速力レベル 18(+8)
生産レベル 10
知力レベル 100(+23)
魅力レベル 150(+27)
スキル
『☆秀才』『☆風魔法の才能』『☆イケメン』『☆妖精契約・チンカウバイン』『剣術:下級』『炎魔法:下級』『水・氷魔法:下級』『風魔法:【下級→中級】』『土魔法:下級』『聖魔法:下級』『闇魔法:下級』『生産魔法:下級』
内政力
爵位:男爵家の息子
兵力レベル:無し
収入レベル:無し
領地レベル:無し
ゲーム序盤の能力値は良く伸びる。
ダッシュ・筋トレ・恋愛相談によって体力・魔力・速力が伸びた。
更にチンカウバインの意識を共有する事で知識が上がった。
チンカウバインの意識にある美しい動きを実践する事で魅力も増した。
魅力はどの能力値をあげても上昇するが上げにくい。
イケメンのスキルは地味に助かる。
学園初日は死にかけて学園の講義を受けていない。
食堂は使っていたがクラスメートがいる学園の教室に行くのは今日が初だ。
教室の前まで歩くだけでみんなが俺を見る。
チンカウバインが珍しいのだろう。
「緊張しなくていいよ。フィールはもう悪人じゃなからね」
「そうだな」
ガラガラ。
俺が教室に入ると全員が俺を見る。
「おはようございます!」
俺は挨拶をする。
そう、挨拶は大事だ。
席に着くと女子生徒が話しかけてきた。
「フィール君、おはよう」
「うん、おはよう」
「今日から恋愛相談を始めるの?」
「そうだね。放課後に懺悔室で始めるよ。詳しくは教師から連絡があると思う」
1人の女子生徒が俺に話しかけた事で皆が集まって来る。
「フィール君はもう恋愛マスターなの?」
「え?俺、僕は彼女が出来た事はないよ」
「「えええええええ!」」
「絶対にモテるのに」
チンカウバインが飛び上がった。
「君はそこにいる子と相性が」
俺はチンカウバインを掴む。
「やめろ!円卓会議でやらかしたばかりだろ!」
「私は愛を届けているだけだよ」
「……俺の中に憑依しててくれ。恋愛相談は懺悔室でする。俺の魔力をたくさん使っていいから!」
「約束だよ」
チンカウバインが俺にキスをして俺の中に入ると歓声が上がる。
「ふう、すまなかったね」
「みんなに気を使いすぎだよ?普通に話してもいいのに」
「そうかもな。うん、これからは」
ガラガラガラ!
「席に着きなさい!早く!」
女性教師が入って来ると生徒が慌てて席に着いた。
学園は問題無くやって行けそうだ。
俺は教師の連絡を聞きながら安堵した。
「……連絡は以上です。所でフィール君」
「はい?なんでしょう?」
「あなたは入試の成績が良かったですね?学科が優秀な生徒には単位免除の試験を受ける権利があります。受けませんか?」
「え、と、入学初日は休んで、今日は授業を受けずに試験ですが、その、大丈夫なんでしょうか?」
「問題ありません。理解している授業を受けさせる事も無駄でしょう?」
「受けます」
「いいでしょう。それと、フィール君は自己紹介がまだでしたね。あなたが何になりたいのか?そして何を成したいのか。聞かせてください」
全員が俺に注目する。
「今ですか?俺だけ?」
「ええ、どうぞ。自分の話し方で、ありのままをお願いします」
やりずれえ!
プレッシャーが凄い。
「僕は、」
自分話し方で、飾らず、か
「俺は、性格の悪い人間でした。優しくて怒らない親の愛に甘えて、迷惑をかけて来ました」
これはフィールの成り立ちだ。
過去は消す事は出来ないし人のせいにはできない。
俺がやった事じゃないなんて言い訳は通用しないのだ。
「誰かを助けても、痛い目に合う、そう思っていました」
これは日本にいた頃の俺の想い。
人間関係は乾いていて、よく責任を押し付けられていた。
人を助ければ次から当たり前のように助けを強要される。
「でも、この学園に来て自分の悪さに気づきました。親の愛に気づきました。俺は、今まで楽をしようと思っていました。だから俺には力がありません。でも、この心の熱が冷めるまでは!全力で訓練を行います!何が出来るか、何をしたいかはその後に決めます!以上です!」
教師が涙を流す。
「いい、自己紹介でした。感動しました」
周りを見渡すと好意的な視線が多かったが、馬鹿にするような視線も一部あった。
口だけならば何とでも言える。
悪いやつに限って自分の失敗をごまかす能力が高かったりする。
日本でそれを何度も見て、何度も被害を受けてきた。
ますますやる気に火が着いた。
この世界では、
実力の無い者=努力出来ない者でもある。
特にこの場は学園という学べる場所が与えられている。
ここまでお膳立てされて出来ませんでしたはただの言い訳だ。
日本と違って仕事をやればやるほど押し付けられるような事もない。
この世界は頑張れば責任だけではなく、恩恵も同時に与えられる。
まずは訓練、の前に試験だ!
俺は先生に連れられて試験場所に向かった。
◇
俺は試験を受け、すぐに採点された。
「まる、まる……優秀ですね。すべての学科を免除します」
おし!おし!
これで訓練に集中できる。
放課後は毎日恋愛相談を受けた。
学科を免除された俺は毎日学園を走った。
毎日筋トレを行った。
チンカウバインは俺の訓練中、懺悔室を使って恋占いをしている。
やればやるほど力が増していく。
能力値が上がっていくのが気持ちいい。
日本にいた頃の俺は若いのに体の調子が悪く、老人のような気分だった。
だが今の俺は心が若返ったように気分も変わっている。
話す人は善人が多いし、時間がゆっくり流れているような心地よさがあった。
フィールの訓練を生徒が眺める。
今フィールは学園内をダッシュしていた。
「フィール君って、かっこいいよね」
「また速くなってるよ」
「本当に頑張っているんだね」
女子生徒の話を聞いていた男子生徒が会話に割り込む。
「ふん!どうせ頑張っている所を見せているだけだ!あいつはただの口だけ野郎だよ!」
「そ、そんな事ないよ。学科は免除されてるでしょ?勉強を頑張ったからだよ」
「勉強はな!それにあいつは秀才のスキルを持っている!秀才なのにあんなに弱いのはおかしい!口だけだからだ!」
「そこ!静かにしなさい!」
教師が男子生徒を注意するがそれでも話をやめない。
「フィールの奴が授業中に走り回っていて目障りなんだよ!努力アピールがうざすぎるぜ」
「あのルートは学園で認められています。文句があるならフィール君のように学科を免除されてから言いなさい」
「ぐ!勉強は認めるよ!!だがあいつは弱い!今まで得意のお勉強ばかりで訓練を怠ってきたからだ!その証拠にあいつは学園登校初日で決闘を挑んで死にかけている!!」
「それを認めて努力しているのでしょう」
「いいや!あいつは顔がいいからって俺達に見せつけているだけだ!」
「分かりました!フィール君と実戦戦闘の訓練をしなさい!今は授業を続けます!」
「おお!楽しそうだ!」
「私達も見学したいです!」
「いいでしょう、放課後に開催します!」
男子生徒は口角を釣り上げて笑った。
そしてこの事件は瞬く間に学園中に知れ渡る。
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