6月24日(金)

最近大学の図書館に足を運ぶことが増えた。今日も明日のセミナーに向けて予習をするつもりだ。テーマは「若者の政治参画」。投票システムの見直しや学校教育に政治の話をさらに盛り込むことで身近に感じてもらうことなどがまず頭に浮かぶ内容だ。しかしそれだけではあのセミナーに参加する人たちのスタートラインにも及ばない。そのために今日はあえて違う観点から考えてみようと思い、図書館を周回する。その時、僕と似たようなブレスレットをつけている男子を見かけた。今までの僕なら話しかけずにスルーしていたが、今日は話しかけてみようと言う気持ちになった。「そのブレスレット、もしかしてセミナー参加してる?」そう聞くと、彼は怪訝そうにこちらに視線を向ける。「特にセミナーには参加していません。これは信仰上の理由でつけています。突然話しかけてきてタメ口だなんて、デリカシーないですね」と早口で捲し立てられ足早に去っていった。一人取り残された僕は、失礼な物言いよりも「信仰上の理由」と言うのが気になった。彼女は昨日の彼の言う通り、何か他に思惑があるのか?いや、そうではない。そうではないと思いたい。もやもやした何かが胸につかえていた。

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