6月11日(土)

昨日LINEを交換した女子にメッセージを送ると、数秒と経たず返事が返ってきた。話してみると、どうやら彼女もあの雰囲気には馴染めなかったらしく、僕と話すと不思議と落ち着いたためLINE交換に踏み切ったらしかった。

二人とも今日は暇だったのでお互いの最寄りの中間駅にあるカフェで昨日の飲み直し(正確に言うと酒は飲んでいないため飲み直しとは違うが)をすることにした。彼女は水色のワンピースにシルバーの光るネックレスをつけていた。その着こなしは小洒落ていて、本当に僕と同じなのだろうかと懐疑的にもなる。


「お待たせ、待った?」


彼女の声が凛と響く。利き手と反対の耳に髪をかきあげる仕草はなんとも艶っぽかった、なんて言ったら気持ち悪いだろうか。しかし本当にそうだったのだから仕方がない。久しぶりに女子と話す高揚感と、自分に好意を抱いている訳が無いのだからわきまえろという自虐感が自分の中で渦巻く。

彼女とは話が弾んだ。主に大学の話や何の変哲もない身の上話をした。僕のつまらない話を彼女はオーバーといえる程のリアクションで盛り上げてくれた。少し違和感があったとしたら、彼女から笑みが消える瞬間が一秒もなかった事だろうか。しかし僕がそうでないだけで、ずっと笑みをたたえている人間もいるのだろう。また一歩成長したのではないかと思いながらテレビをつけた。

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