第4話 最初の敵はやっぱりアイツ

第4話


「これがダンジョンの一階層か………」


目の前には草原の様な空間が広がっていた。


話に聞いた限り、このダンジョンは現時点で四十階層まで攻略されており、その内の一から十までの階層は草原の様なフィールドらしいのだ。


都会生まれなので、実に新鮮な感じだ。


「確か、一階層だと………」


ゲームとかでもお馴染みなアイツが出ると聞いてるんだが………


「おっ、居た!!」


其処には、ポヨンポヨンと跳ねながら移動する存在が居た。


身体が透けて見える程に透明で、ゼリーの様な見た目なコイツは────


「これがスライムかぁ………」


どのダンジョンでも必ず最初に戦う事になる最弱のモンスター。


これがそのスライムである。


『ポヨ、ポヨヨン。』

「う〜ん、何言ってるか理解わからん。」


まぁ、そんな事はどうでもいいか。


まずは………


「スキルでも試して見るか………」


確か、硬くなったり、炎出せるんだよな?


「えっと、硬くなれ!」


言葉に出しながら念じると、身体が少し重くなった様な感覚に襲われる。


それと同時に、身体中が何かに覆われてる様な感覚にも襲われた。


「う〜ん、もうちょい視覚的になると助かるんだがなぁ………」


じゃあ、一つ試してみるか。


「えい!」


一応武器になるかと思って持ってきたナイフで、思いっきり片腕に振り下ろす。


すると、カンッ!という音と共にナイフが折れて飛んでいった。


「か、硬ぇ………」


思った以上に硬くなれるな、このスキル。


でも、武器が無くなっちまったな………


まぁ、素手で戦えば良いか………


「────。」


そう呟きながら、拳を鳴らす。


ああ、懐かしい感覚だ。


何故か理解わからないが、そう思ってしまう。


「ふぅ、燃えろ。」


先程硬くした様に、言葉に出しながら念じてみる。


すると、俺の身体中が燃え始める。


しかし、流石は熱や炎を操るスキルだ。


全く熱くないし、炎を見ても全く恐怖が沸かない。


────よし、行くか。


「喰らえ、スライム!!」


炎を纏った拳でスライムを殴ってみる。


ゼリーみたいな身体をしてるスライムの事だ。


ポヨヨンと弾かれても可笑しくはない。


────そう思っていた。


『ポヨヨヨッッ───────────』


何か凄い断末魔を叫び、弾けた。


もう爆発するかの様に、勢いよく振ってから開けたコーラ缶かの様に。


「えぇ、雑魚過ぎるだろ………」


一部の創作を除けば、スライムは大体の作品で雑魚扱いだ。


だが、目の前の破裂したスライムは、酷いレベルの雑魚っぷりだった。


「────えっと、これが魔石か。」


しかし、このまま呆れてボ〜としてる暇はない。


モンスターを倒したら出てくると言われてる魔石を拾う。


これは金になるらしいからな………


「しめしめ、お金が一杯稼げるぞ♪」


まぁ、スライムの魔石一個で10円なのだが、その時の俺はテンションが上がり過ぎて頭からすっぽぬけていた。


「さぁ、行くぞスライム!燃えたい奴等からかかってこいや!!」


続く

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