Cradle the Sky

まず、あらすじと参考図書の欄を読んでください。
これだけでもう、ワクワクしてしまいますよね。そうです。「抜群の読み応え」と絶賛すべき傑作です。

ドローンが兵器として使用される世界。実の家族との関係を断ち切られた少年は、特殊な技能でドローンを操る子供たちと出会い、世界を巡るなかで否応なく成長させられていく。
現実は甘くない。葛藤の末に彼が、彼女たちが導き出す答えとは。
衝撃のラスト、読後の深い余韻、心でつながった家族を描く重厚な物語だと感じました。

異国の空気、食べ物など、作中に少年が訪れる様々な場所の解像度が極めて高く、唯一無二の世界観を構築する天才の所業というのでしょうか、読んでいるだけで嗅覚を刺激される没入感の高い一級品です。

新刊告知からカウントダウンのように毎日少しずつ公開されてきた作品でもあり、ファンにとってはこれ以上のご褒美はありません。(このレビューを投稿した時点では全文公開です)
才能溢れる作家の新作を一足早く書籍発売前に全文読ませていただいたこと、とても幸せなことだと感じています。(なので、皆さん読んでください)

初めて読んだ藍内友紀さん(ササクラさん)の作品は講談社BOXの緋色のスプークで、久しぶりに本棚から引っ張り出してみたのですが、あとがきにこう書かれていました。
「空なんて、地上からぼんやり眺めるに限ります」
ミツバチたちがドローンを手放し、地上から空をぼんやり眺める。
そんな世界になってほしいなと、読後の余韻に浸りながら思いました。