第3話 8ハウスについての考察

8ハウスのテーマとして、すべての人に平等に与えられているものがあります。

それは人の最後の時です。

男でも女でも、どんなに地位があって偉い人でも、生まれてすぐや若くて元気な人でも、皆等しくその時は訪れます。そしてそれは、この世に生まれてきたものにとって、避けては通れないものでもあります。


占いでは、それ自体を占うことを禁止しているものもあるらしく、あまり積極的に占われているのを見たことがありません。手相は例外で、生命線の長さで長生きかどうかを調べることができるので、それを取り扱える種類の占い方法といえるでしょう。


占星術で人の臨終を予見することは可能なのでしょうか?

人生の終着点というのは、占えると、占っていいと私は考えます。占星術では人の誕生を妊娠・出産という形で占えるのだから、当然最後も占えるというのが私の考えです。

ホラリー占星術では、当たり前のように8ハウスの占い方について学ぶことができます。昔の占星術師たちも皆そのことを知っていますし、当たり前のように使っています。


8ハウスの事柄に関しては、尋ね方があるように思います。

「外国に行くのだが、道中を無事に行って来られるだろうか?」や、「戦争に行くが命を落とさず帰ってこられる?」は、みてもいいでしょう。でも、「気に入らないやつがいる。あいつはいつ消えてくれるのか?」なんて、勝手に人の最後を占ってはいけません。

「私は私の人生を自らの手で終わらせたいのだが可能か?」なんて、質問自体がナンセンスです。そもそもこの占いには自由意志が尊重されますので、好きになさればよろしいかと存じます。

でも、それで終わりではないのですよ?まさかそれで終わりだなんて考えていらっしゃらないですよね?その後のことを思うと本当に恐ろしいことです。

なんの健康の不安のない人や、命の危険にさらされるような場所や状態に置かれていない人が、「私の最後の時はいったい何時なの?」と尋ねるのは違うと思うのです。健康で生きられる人は、天寿を全うすることが第一です。生きたくても生きられない人もたくさんいらっしゃいます。生きて、いや、生かされている間は、きちんとその生を全うしなければならないのですから。



具体的な判断方法を記していきます。

ここに書かれていることは、鵜吞みにせず、必ず実践と検証をお願いいたします。


本人の臨終を表すのは8ハウスとそのロードです。

アセンダントと8ハウスのロードとの間にアスペクトがあれば、亡くなるという表示になります。月と8ハウスのロードとのアスペクトでも有用ですが、この場合、主たる表示星が月であることが条件になります。従たる表示星と8ハウスのロードでは物事が成就しないと、古代の占星術師たちは述べています。


8ハウス=蠍のサイン(蠍座)ではありません。ハウスとサインは別のものとして古典占星術ではとらえています。この質問には蠍座は関係ありませんし、そのルーラーであると言われる冥王星や火星が、必ず8ハウスの事を伝えるために登場することはまずありえません。たまたまそのチャートで8ハウスのカスプが蠍か牡羊のサインに刺さっていたのなら、火星が8ハウスのロードになることはありますが、いつも火星が8ハウスの事柄を司っているということはありません。


この問題にはアンティッションは効きません。なぜならアンティッションは影の動きであり、本人そのものの動きではないからです。

本人以外であれば、多くは7ハウス(相手)でしょう。カレント(質問者)との関係が明白であれば、表示星を決めることができます。カレントの母ならば10ハウス、父ならば4ハウス、子供は5ハウス、配偶者や恋人は7ハウスです。

本人以外の生死は、アセンダントから数えて8ハウスと、他人を示す相手のハウスのロードのラディカルの8ハウスで示されます。アセンダントからの8ハウスは、カレントのものではないのか?という疑問が残ります。アセンダントから見て8ハウスを他者にも当てはめるのは、多くは対象者がこと切れそうな状態であるということです。そのため占星術師に直接占いを申し込むことはできないからだと言われています。ですので、アセンダントの8ハウスも含めてもいいそうです。


人の最後は8ハウスのロードだけが示しているとは限りません。

8ハウス以外の表示ですと、太陽とのコンバストやドラゴンテイルとのコンジャンクションがあげられます。太陽だけは表示星であるときに限り、7ハウスに沈むときにそれを示すものとなります。7ハウスは地平線を示す場所です。太陽が沈むというのは、どことなく終わりを示しているようにも感じられます。また4ハウスにすべての惑星が向かっていることがそれを表すこともあるそうです。これはどのような表示として表されるのか具体的にはわかりませんし、私のところには例がありません。本当に効くかは実践あるのみです。ぜひご自身で確かめてください。


表示星が弱い場所に置かれているだけでは判断してはいけません。表示星がマレフィックであってもベネフィックであっても関係ありません。ですので、8ハウスの表示星がベネフィックであっても、条件次第で最後は訪れることがあります。

8ハウスのロードが、特に何の役割を持たないマレフィックとアスペクトする場合、これも物事が完成されることはないでしょう。もちろんマレフィックが本人や占い対象の表示星であればアウトです。


また、8ハウスの事柄を尋ねていないにも関わらず、時として質問者の表示星が8ハウスのロードとアスペクトをしてしまっていることもあります。これは気にしなくていいでしょう。ホラリーは質問に答える技術でもあります。命の危険を問われていない質問でしたら、聞かれていないことには作用しませんし、私たちも観察しなくてもいいのです。

ただし、私たちは安全か?と尋ねられた場合、これには注意しなければなりません。大きな意味で、私たちは命を落とすことがないかと聞かれている場合があります。その時は、必ず質問者に質問の意図を確認しなければなりません。大きな災害が迫ってきているのではないか?との問いには、しばしばこの8ハウスの問題は関係してくることでしょう。

また、行方不明者の捜索などで質問をされた場合、8ハウスは確認しなければなりません。8ハウスと表示星がアスペクトしているようなら、行方不明者はすでに亡くなっているか、命の危険にさらられているようです。

しかし、8ハウスのロードに表示星がレシーブをされていると、物事は完成されません。

これは他の質問にはないパターンですので、よく観察してください。ドミサイルか、イクザルテーションのレシーブです。タームやフェイスを足したディグニティは意味がありません。必ず王権か主権のレシーブが必要になります。

そのため、表示星が8ハウスに入っていても、それだけではすぐに亡くなるという判断はできません。表示星が8ハウスに入っていたとしても焦らないでください。なぜなら、表示星が8ハウスのロードにレシーブされていることになるためです。これは危険から逃れられる表示となります。

反対に、表示星が8ハウスのロードをレシーブしていると、本人は最後を受け入れていると読めてしまいます。ちょっとややこしいので読み間違いに気を付けてください。


寿命はホラリーチャートだけに示されているわけではありません。時にはネイタルチャートに書かれている場合もあります。

ハルブとヘイズという概念があるのですが、これはネイタルチャートにおいて、その人物が生きていくために必要なものを持ち合わせているかを判断できます。

ハルブがあると、幼少期にきちんと誰かに養ってもらい生きていけると言われています。しかし、ハルブがないと総じて短命であると言われています。

ヘイズがあると、周りから疎外されずに生きていくことができます。そして今際の際に一人ではありません。必ず誰かに看取ってもらうことができます。

ネイタルチャートにハルブとヘイズがあるので大丈夫かといわれると、実はそうではありません。ネイタルチャートの8ハウスも密接に関わってきます。ネイタルにハルブがあり、誰かに育ててもらえると出ていても、アセンダントのロードが8ハウスのロードとリセプションやレシーブ無しでアスペクトしている場合があります。これは、ネイタルの技法によって観察できますが、運悪く8ハウスのロードとアスペクトしてしまう年に、命を落としてしまうことになることもあります。


人の生死は、時に星によって示されますが、人が生きるということは、それ以上に複雑に絡み合った因子により、成り立っているようです。

この世になんの役目なしに生まれ落ちたものはいないそうです。どんなに生きることが辛くても、この世に生まれてきた以上、私たちは生を、役目を全うするべく精一杯生きていかなければいけません。

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