情景スニッピング

八咫空 朱穏

1枚目『冬の境内 ―東雲神社(しののめじんじゃ)―』

 境内けいだいの真ん中に立って辺りを見回す。


 鎮守の森の樹々は冬の装いをしており、葉の代わりに積もった雪でその幹やこずえを着飾っている。


 くもり空がのぞく梢や積雪がさみしさを引き出しているこの場所は、まるで居住者が去ってから長い時間を経た巨大な鳥の巣の中のようだ。


 見上げれば、薄灰色うすはいいろの雲がこの空間の天井てんじょうおおっている。そこにわずかだが、薄灰色の天井のけ目から青空が覗く。


 春というひなが、その天井のからを破るのはもうすぐなのだろう。

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