第二十三話

「言八、同じ中学生から、嫌われてるの」

突然、優花がそんな事を言ってきた。

「何で?言八いい子なのに」

だが、優花は首を横に振った。

「あの、喋り方のせいなの。みんな、変だって」

確かに。何であんな喋り方するんだろうとは思ってはいたけど、意思疎通は出来ていたので問題ないと思った。

「あの子、それからあんま喋らなくなっちゃて。私に対しても必要最低限の言葉しか話さなくなった。でも、それでも通じない時があってそういう時は文字を書いて、読ませるぐらいで」

「そうか。あの子は深い悩みを抱えているんだな」

俺は覚悟を決めた。初対面であまり、分からないけど。助けたい、その思いは変わらないから。

「俺と意思疎通出来て、相当嬉しかっただろうな」

「うん」

「じゃ、俺があの子の話し相手になろう」

「えっ?」

人は誰しも誰かに話したい。だから、意思疎通出来る俺なら話せる。話して、楽にさせよう。

「俺は、あの子といっぱい喋って、本当に、他の人が言う事何て、忘れるぐらい笑わせてやる」

あの子でも笑う事は出来る。

だから、だからこそ、笑顔にしたい。

俺はこの日から、

一人の少女をめいいっぱい笑わせる。

そんな、夢を持つようになる。

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