第二十一話

「楽しかったね」

「そうだな。あんな凄い花火初めて見た」

「初めて?」

「俺、夏はずっと、部屋にいたから」

「えっ、何で?」

「暑いから」

「引きこもり」

「違ぇよ」

「じゃあ、ぼっち」

「まぁ、そうと言えばそうだな」

「へー、じゃあ」

優花は言う。

「良い彼女を持ったね」

「…。そうだな。俺は可愛い彼女を持っているかもしれない」

「かもじゃないでしょ」

「そうだな。全く、可愛いやつだな」

「へへっ。嬉しい」

そろそろ、分かれ道だった。

「じゃあ、また明日」

「また明日」

俺らは無意識にまた明日会おうと言う約束を交わす。それは約束を破るのは出来ない。

また、いつかどこかで出会う。人間はそういうものなのだから。


俺たちは楽しむ。俺たちはこの青春を謳歌する。


この普通の青春を。


これはある1人の寂しい少年の恋物語。


これは、普通の青春の話。


そして、また会う運命の人に恋するための話。

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