第十二話

「ゲホッ、ゴホッ、ゲホッ 」

「大丈夫?」

「大丈夫だよ。母さんは仕事行ってて」

「いや、今日仕事休みだから、大丈夫。安心して」

チッ!せっかくのズル休み。有効に使いたかったが、まぁ良いだろう。

「とにかく、寝なさい」

「うん、わかった」

キィィバタン。くそ、ゲームしてぇ。

はぁ。暇だ。寝るか。


「んっ。今、何時だ?」

空の色的に夕暮れだろう。

「あっ!起きた。調子はどう?」

「…ハアアア!!??」

「病人何だから、休まないと」

「は!な、何で、何でお前いるんだよ!」

俺のベッドの横には、優花がいた。

「お見舞いに来た」

「お母さんに、『お見舞いに来ました。』って言ったら、何かめちゃくちゃの笑顔で、『どうぞどうぞ〜』って」

「くっそ。後で、いじられるの確定だな」

「…。なんかごめん」

「許す」

「上から目線だな〜」

しかし、今の俺の心臓は秒速二回ぐらいの速さだ。

「風邪、大丈夫なの?」

「あっ。俺、ズル休みだよ」

「・・・。えっ?」

「俺、風邪ひいてないよ」

「・・・」

「ごめん。何か」

「よ、良かったー!」

「えっ…?」

「元気で良かった」

「っっ…!」

「でも、心配するから、そういうのやめてよね」あぁ、この鼓動の高鳴りは何だ?

俺は、この気持ちを知っている。

じゃあ、俺は…。優花の事を…

「好きなんだな」

「えっ、何か言った?」

「何でも」

俺は初めて、認めた。これは、恋だって。俺は、優花の事が好きなんだって。俺は、この日知った。

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