第30話 召喚獣に名前を 後編
名称:プラチナウルフ シルビア
種族:魔獣、犬族
レベル:120
HP 3500 MP 1500
STR 1500 ATK 1000
DEF 3000 AGI 2000(すばしっこい)
LUK なし INT 人の言葉を喋る
CHR 2000
加護: 風、火、空間、回復
魔法属性:風、火、雷(風+火)
スキル: プラチナクロウ、プラチナファング、エアークロウ、
特殊スキル:
フォレストウルフを従える、三体だけシルバーウルフへ昇格させることができる、以心伝心(主と心で会話が可能となりました)
えっ、全然違うんですけど!? っていうかもうシルバーウルフじゃないし。名前シルビアで良いのだろうか?
「そういえば、無事に名前付いたみたいっすけど、なんか変わったんすか?」
「「そんなの見ればわかるじゃない!? どう見たって、ね~~」」
「ぬぬ、何か変わったのか?」
「どうなんだメディウス、何かシルバーウルフに変化は有ったのか?」
あっ、やっぱり僕達男と言う生き物は皆気付いてないんだ。メルさんとケイラさんは流石女性なのだろう。見事シルビアの見た目に気付いているみたいだ。まあ、恐らく流石にステータスやスキルに関して迄は見る事は出来ないだろうけど。
「父上、そして皆さま。彼女はもうシルバーウルフじゃ有りません」
「「「なっ、なにぃーー!?」」」
「「私達は分かったわよねー」」
「「ねーー」」
「まじっすか」
「じゃあ、なんじゃというのじゃ」
「「せーーのっ」」
「「プラチナウルフ!?」」
凄いっ、
見事大正解だ!?
「大正解です、メルさんケイラさん!?」
「でも、なんで分かったんじゃ?」
「そっれっはぁ~ねえメルぅ」
「ええ、ケイラさん」
「「宝石のプラチナの輝きにソックリだから」」
「そっか~言われて見れば確かにそうっすね~」
「うん、確かに言われて見れば似ている」
「なな、ノラン殿はともかくトロイ、お前がなんで分かるんじゃ」
「いや、妹が宝石が好きなんすよぉ~それで何度も見せらるうちに質感を覚えたっす。それよりドワーフのジルスの旦那が鉱石にうといって、それないすは」
「……」
「あっ……」
トロイさんは悪気はなかったのだろうけど、彼の一言が物凄く突き刺さったようで、あのジルスさんがみるみると縮んでいって、ナメクジのサイズに見えた。トロイさんの言う通り、ドワーフと言う種族は物凄く鉱石に詳しい種族とされている。その種族である彼が鉱石に疎いと言うのは、ドワーフ族としてかなりマイナスなイメージとなる。
「すっ、すんませんジルスの旦那、そっそんなつもりじゃあ」
「ええんじゃ、お前さんの言う通りじゃ。儂は鉱石の見分けられぬ駄目なドワーフじゃ。じゃから、嘗て皆に笑われた。儂が唯一皆よりも勝っていたのはこの腕っぷしだけじゃからの。じゃが、その腕もどうじゃ、未だにC級止まり……全く情けない話じゃワイ」
「そんなに落ち込む必要はないぞ、ジルス殿。私にも分かりませんでしたし、それに今回、依頼は出てませんが、特殊討伐としてギルドにシルバーウルフを提出すれば恐らくは……」
「「B級ランクの冒険者昇格!?」」
良かった……。
まだ確かじゃないけど、その事を聞いてすっかりジルスさんの機嫌が戻った。
「それよりも困ったことが……」
「一体どうしたのじゃメル?」
「もう森は危険じゃないと思いますが、歩いて森を抜けるとなると到着は真夜中になるかと……」
「それならいい考えが僕にあります」
「「「それは一体、どんな方法が」」」
◇◇◇◇◇
「いやはや、まさかこんな方法とは思いつかなかった」
「最初はその提案に驚きましたが、案外乗り心地が良いものですね」
「ほんっと、うちもびっくり、こんなモフモフなんだ」
「アハハハ、わっ、儂はちとこの揺れには慣れんかったがの」
「俺っちも今回だけで勘弁してほしいっす」
「それより、流石にこの大所帯じゃ町が慌てている様子だが」
「僕が門兵さんに話してきます」
「いやっ、此処は流石に私がのほうがいいだろう、メディウス」
「そうですね~私もそう思います。ノラン様の方が適任かと」
実はあれから僕が提案したのはこうだった。プラチナウルフのシルビアに命令をして、彼等の背に乗って森を移動したんだけれど、僕の命令が上手く通じなかったのか? それともプラチナウルフへの忠誠なのか分からないが、集まった残りのフォレストウルフ、シルバーウルフが共に後ろに付いて来てしまったのだ。
暫くしたら、父様と一人の兵隊さんが馬に乗ってやって来た。
「ほっ、ほんとうに大丈夫なんでしょうか? 間近でみると想像以上にデカくて驚いているのですが……」
「大丈夫ですよ、僕の召喚獣となっていますので」
「はあ……まさか息子さんの五歳の誕生日がシルバーウルフとは」
「あのぉ~シルバーウルフではなく、プラチナウルフです」
「はぁ!? プラチナウルフっB級ランクの奴ですか?」
「のようだな」
「のようだなって、ノラン様、流石に町には通すことは出来ません」
「そうか、分かったエド、わざわざ済まなかった。私から息子には伝えて置くので、門まで戻っていてくれ」
「畏まりました、では戻らせていただきます」
「聞こえていたと思うがメディウス、というわけだ」
「分かりました」
人語を理解してるだけあって、振り向くと悲しい目をして伏せているシルビアの顔がそこにあった。さっきまで恐怖の存在だったのに、今は森に戻るように命令することに躊躇っている自分が不思議だ。
「シルビア、僕は平気だけど、町の人によっては平気じゃない人もいるから、ごめん……」
「分かりました。残念でありますが、彼等を連れて森へ戻ります」
「ごめん……ありがとう」
「ちょっと待ってください」
「「メルさん!?」」
「どうしたんじゃメル?」
「お誕生日に何を上げれば良いか迷っていたのですが、丁度良い物があるのでこれをどうぞ」
「これは?」
「テーマブレスレットです。その周りに埋め込まれた石の数分、メディウスさんがこれからテイムする召喚獣を入れて置く事ができます」
「こんな凄い物をイイんですか?」
「ええ、私には召喚の才能はありませんので、あとコレも」
「これは?」
「本屋に入る時約束したじゃないですか、(もし魔眼をお持ちなら)プレゼントするって」
「ああ、なるほど」
「まだメディウスさんには早いかもですが、そうですね~15歳くらいになったらお役に立つかなと思います」
「え!? そんなに後にならないと読んでも理解できない本なのですか?」
「ええ、特別に拵えて貰った本なので。一見すると魔法の書に見えますが」
「それじゃあの坊主、また会える機会が有ればまた会おう」
「メディウス殿、そんじゃあっす」
「お姉さまに、いやお母様によろしくね~」
「本当に道中色々助かった、私からも礼を言う」
「「「「いえいえ、ノラン殿。こちらこそ、それじゃあ!?」」」」
そう言うと彼等は去って行った。
今度は何時また彼等と会えるのだろうか? ひょっとして、もう会えないって事も考えられる。それが冒険者という職業なのだから。
◇
ところ変わって次の日の朝、
うわぁああああああああああああ!?
「どうした、メディウス。一体何が有った!?」
「なっ、何でも有りません父上、ちょっと悪い夢を……」
「そうか、ならいい。支度が出来たら、降りて来なさい話がある」
「わかりました」
僕が叫んだ原因は夢でも悪夢でもない。
メルさんから貰った魔眼で読む本が僕を驚かせた原因だった。
「15歳でって……これ、15歳でも早いんじゃないのか?」
「メルさん悪戯が過ぎるでしょ、今頃道中舌を出しておちゃらけていそう」
で、でも凄いな大人の人って、服からは分からなかったけど、メルさんって物凄く大きいんだ。そう、彼女がプレゼントしてくれた本は、彼女のセクシーショットが網羅されたHな本だった。メルさんは巨乳なのだ。
僕は5歳、人生で初めて鼻血というものを経験した。
父さん母さんに物凄く心配されたのは言うまでも無い。
……鼻血の原因が本だとは絶対に絶対に秘密だ。
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