第15話 島崎一家を立花一家で守る

 あれから望美は佐々木を刺したことが正当防衛として起訴されることはなかった。俺を刺して、咲希も脅迫していた佐々木を刺したことはやむを得ないということだそうだ。そして佐々木本人はというと、お腹を刺されていて死に至っておらず、病院で殺人未遂の疑いで逮捕された。いい気味だ。本当に二度と俺たち家族に関わってこないでほしい。


 そして紗栄子さんが俺のお見舞いに来た時、「ごめんなさい。そしてありがとう」と俺に言ってきた。謝ることもないが、仕方ないだろう。別れた男に娘が襲われて、挙げ句の果てに再婚相手の子供にまで怪我をさせてしまったのだから。なぜありがとうと言ったのかを聞くと、「颯太がいなかったら、咲希と望美は佐々木にあんなに強く反抗できなかったはずだから」だそうだ。俺はただ刺されただけだが。


 それから望美はアメリカに帰るのを延期してでも咲希と一緒に俺の見舞いに来た。この二人が揃ってしまうと大変なことになるのだが、案の定、抱きついてきて、泣いて俺に怖かったと訴えてきた。そこまでして俺に訴えてこられたら、俺だって死ぬわけにはいかない。もう二度と咲希と望美を不安な気持ちにさせることがないようにしなければ。しかし一週間前くらい前にも二人を守ると自分の中で決めたはずなのに、今回はあんなにも呆気なく守ることすらもできずにやられてしまった。もう少し役に立てるようにならなければ。


 それからそれから学校に二週間ぶりに行った時には、クラスメイトからは質問の嵐だった。なんで学校に来なかったのかって。そして俺が刺されたというと、今度はなんで刺されたと質問を受け、それはもう大変だった。俺は病み上がりなのに、マジでクラスメイトに殺されるかと思うくらいキツかった。しかし、家に帰ると咲希と望美が家にいて、俺のことをつきっきりでお世話してくれる。別に俺が頼んだわけではないのだが、やらせないと物凄い勢いで怒られる。「颯太はじっとしてればいいから、お姉ちゃんたちに任せて」と。これはこれでいい気分ではない。早く今までの生活に戻りたいものだ。


 父さんはというとこの事件の一件の始末をしてくれていた。友達の弁護士に頼み、佐々木をまたも刑務所送りにした。今回のようにまた騒ぎを起こされないようにしたそうだ。どうやってかは教えてくれなかった。父さんは顔が広いから、どうにでもできるのだろう。いつしか俺も父さんみたいになりたい。島崎一家を父さんが守ったように俺も咲希と望美を今度こそは守っていきてたい。




追記

どうもマリウスです。ここまでで第1章が終わりとなります。

これからもどうぞよろしくおねがいします!


 

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