異世界で買った奴隷がやっぱ強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

第一章

一話【エピローグとプロローグ】

白一色の眩しい世界。


知ってる場所の様な気がする……


この上下の感覚も危うい世界で、誰かが語りかけて来る。


『このまま死を望みますか?』




知らない声…… 


俺、死んだよな?




病院の深夜の救急事務で、突然知らない同僚に飛ばされた異世界。


だが、飛んだ先は行くはずだった異世界とは、別の世界だった。


36のおっさんが異世界で運良く生き残り、買った奴隷の少女に助けられながらも、多くの人々と出逢い、別れ、冒険をし、最後には、世界を救う……


まっ、結果死んでしまったのだが……


楽しかった。


あのまま社畜で終える人生の何百倍も良い、色濃く生きている実感が湧いた出来事だっだ。


後悔は……


無いな。





『惣一郎ヨ……』


ん? 今度は聞き覚えがあるぞ?


『惣一郎ヨ、マダ終ワッテハオラヌ……』


あっ[世界]…… 最後に時間をくれてありがとう…… おかげでちゃんと別れが言えたよ!


あれ? もう会う事は無かったんじゃ無いの?


『アァ、此奴ニ頼マレテナ…… 惣一郎ヨ、約束果シテクレ感謝スルゾ…… 見事デアッタ』


いえ、結果は締まらないですが、皆んなの為ですから、俺も楽しかったし、割と充実し………


えっ、終わってない?


『ソウダ、惣一郎ヨ…… マダ終ワッテオラヌ』


ミルドラは、ベンゾウが倒したはずだが……


『此処からは私が…… 惣一郎、私は[世界]貴方が救った世とは、また、別の世の[世界]です』


別の世? 違う異世界って事か?


『ええ、私の世で増えた魔物が、貴方がいた世に流れていまして…… 此度の活躍、私からも感謝致します』


厄災の事か?


『そう…… 均衡が崩れ、増えてしまった結果です…… 私も以前、均衡を保とうと世に、勇者を召喚したのですが、力及ばずに……』


勇者を呼んでも無理だったのか……


『いえ、既に強い力を持っておりましたので、新たに力を与える事はしなかったのです。十分戦えるかと…… 私の考えが至らなかったのです』


『惣一郎ヨ、元ヲ正サネバ、我ノ世ニモマタ、同ジ事ガ繰リ返サレル事ニナルノダ……』


残されたベンゾウ達が、また危険な目に遭うって事か、俺がいない後で……


『そこで惣一郎…… 貴方は死に、世との因果が切れました。どうか私の世も、お救い頂けないでしょうか……』


はい?


『惣一郎ヨ、若返リ、チカラ余ル其方ナラ、蟲ノ数ヲ減ラスノモ、容易イ事ダロウ……』


待て待て待て! また違う異世界で一から始めろって事? 俺ひとりで? しかも厄災だらけの世界で!


『我ラニハモウ、新タナ勇者ヲ召喚スル、チカラガ残ッテオラヌノダ……』


『授ける力も…… ですが貴方なら既に力をお持ちです…… 魔王の力を』


マジか。


厄災しかいないんでしょ?


『いえ、少ないですが文明もまだ残っております…… 魔獣も精霊も……』


『近イ世ダ、言葉モ問題ナイ…… 残サレタ、愛シタ者達ノ安寧ノ為ニ』


ズルい言い方ですね…… 


でもまぁ、このまま死ぬよりかはマシか。


『スマヌ……』


それで、数を減らして行けば良いのですか?


『はい、貴方なら……』


スキルも覚えた魔法もそのままって事ですよね?


『如何ニモ……』


なら、何とかなるか……




分かりました。


のんびり厄災討伐の旅、今度こそスローライフを手に入れて見せますよ!


『感謝スル……』


『感謝致します……』



その瞬間、意識を失くす惣一郎。


厄災の居る世界で、新たな冒険が始まる……







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