第8話 文化祭

今日は、待ちに待った文化祭である。今日は、土曜日でこの小さな町の中学校には、地域住民の方がたくさん来て、生徒の歌声を聞きにくる。特に高齢者の方は、英気を養えるからといって、大勢来ている。後方では、ビデオカメラを持った保護者がひしめき合っている。


まず、開式の次があって、みなとくんたち1年生のマイバラードの発表がある。


「もうすぐ、歌うんだね、南雲君」


どうやら、みなとくんは、合唱の練習中にパートリーダーなどを務める南雲君と仲良くなったようだ。南雲君は、いつも頼りになるいい友達だけど、なんだか大人っぽくて苗字で読んでしまう。


『そうだね、みなとくん。気を張りつつも、自分たちが満足いく歌声を届けないとね。』

「うん。」


そして、本番が始まった。リズムよくテンポがいいこの歌声は、会場を明るい雰囲気にさせる。特にサビの部分では、アクセントが聞いた声で会場が満たされていた。

そして、1年生の発表が終わった。拍手が体育館を包み込む。そして、一度、彼らは、教室に戻った。


『みんなそれぞれやり切ったと思う。お疲れ様!』


南雲君がみんなへ言葉をかける。そして、わーという雰囲気が教室でおこる。

次の2年生の発表まであと25分あるので、みんなが思いのまま友達同士で話し合っていた。


『どうだった~、森藤君?』

「やあ、相川さん。僕は、自分の中にあるものを全部出し尽くすぐらい心をこめて歌ったよ!」

『へぇ~、そうなんだ。私も、音程が高い部分に注意しながら、歌い尽くすことができたと思うよ!』

「そういえば、相川さんは、合唱部で、3年生のお膳立てとして歌うんだよね?」

『そうだよ!これまで、クラス練習と並行しながら練習を積み上げてきたんだから!』

「ちゃんと、客席から応援しているからね!頑張って!」

『う、うん。気持ちを込めて歌うから、目を離さないでね!』

「もちろん!」


周囲から見ると、仲睦まじい姿に見えるんだけど、、、

みなとくんは、相変わらずの笑顔で、相川さんも楽しそうに話している。


2年生の発表も終わって、合唱部の発表となった。「いのちの歌」を歌う。この歌は、出会いや縁、生きるということを考えさせる歌だ。合唱部は、9人いて、相川さんは、ソプラノパートを歌っていた。


(合唱部の歌声、すごいなあ。僕も、お父さんやお母さんが出会っていないと、生まれてこなかったし、僕が生きているということを感じさせるなぁ。

相川さんは、生き生きとして歌っていて、すごいなぁ。なんだか、胸に打たれるような美しい歌声だなあ。)


その時、みなとくんに新たな感情が生まれたかもしれないし、生まれていないかもしれない。


合唱部の演奏が終わると同時に、大きな拍手が鳴り響いた。その後、3年生の発表、閉会の次があり、文化祭は、幕を閉じた。


みなとくんは、その後、教室でいろんな人と話して、帰った。みなとくんも、少しは、交友関係が広がったんじゃないだろうか。


みなとくんは、健太郎くんや南雲君たちとも笑顔で互いをたたえ合っていた。

もちろん、相川さんとも話したが、何を話したのかは、ここでは、伏せておこう。しかし、相川さんと話し終わったみなとくんは、少し照れていた。


さあ、もうすぐで夏休みに突入する。どうなる、みなとくん!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る