第2話 現状把握のお時間ですよ

 俺はメアから受け取った替えの服に着替えながら聞いてみる。


「メア、今の俺は何歳だ?」

「? 5歳ですよ」


 何故そのようなことを聞くのかと言った表情をするメアだったが、特に文句も言われることなく教えてくれた。


 なるほど5歳か。

 見た目通りの年齢だな。

 と言う事はまだ間に合うかもしれない。


 ストーリーが始まるのが今から10年後。

 その時には既にジンは自他共に認める悪役となっているが、今はそうではない……はず。

 まだ挽回するチャンスはあるよね?

 ないと死ぬんだが。

 

「メア、俺の世間での評判は?」

「『名門の落ちこぼれ』です。主に剣の才能が全く無いからでしょう」

「うーん、辛辣」

「事実ですので」


 グサッと心を抉るように言ってくるな……まぁそこもメアの魅力の一つなのだが。

 しかしなるほど……もうこの年齢で落ちこぼれと言われているのか。

 意外と可哀想な奴だな。

 こうやったメアにもボコボコに言われているわけだし。


 まぁだが―――

 

「―――全く問題ないな」

「はい?」

「いや、何でも無い」


 メアは意味が分からないと首を傾げている。

 だが今は分からなくてもいい。


「メア、取り敢えず少し1人にさせてくれないか?」

「承知いたしました。何かありましたらお呼び下さい」

「分かった」


 メアは俺に一礼した後、音も立てずに扉を開けて部屋の外に出ていった。

 これでこの部屋には俺一人。


「はぁ……緊張したぁ……」


 俺は部屋にあるクソデカいベッドに飛び込む。

 物凄い高級品なのか、体が包まれるかのように沈んだ。

 

 うん、大変素晴らしい。

 元の世界の俺のベッドよりも気持ちいいな。

 いい暮らししてるじゃないかジン


「まぁ前世の事はあまり覚えていないからイマイチ分からないんだけど」


 そう、俺はこうしてゲーム世界に異世界転生をしたのだが、地球でのことはゲームの知識や文明など大半のことは覚えているのに自分のことは全く覚えていない。

 例えば俺が何者だったのか、名前は何なのか、何歳だったのか、どう言った人間関係を築いていたのかなどなど。

 まぁそう言った情報は今世では必要ないから転生させた誰かが消したのかもしれない。

 

「まぁ前世の事で悩んでいても仕方ない。今世で生きるためにやらないといけない事が沢山あるんだよなあああああ!! あーめんどくせぇ!!」


 何で転生早々こんなに大焦りしないといけないんだよ!

 俺はまだ5歳なんですけど!? 

 5歳で将来の事を詳しく考える奴が何処に居るんだボケ!


「ただ泣き言ばっかり言っていても何も解決しないんだよなあああああ!! 親には見向きもされないし、兄弟には良い奴なんて1人も居ないし!! こう思ったらただでさえ素晴らしいメアが余計素晴らしく見えて来るよ! 何なら人間超越して天使まであるよ! あーやだやだ、何で俺がこんなに大変な運命を歩まないといけないのか!? 俺はメアと穏やかな生活を送れれば、別に何だって良いんだよ! 貴族とか要らん! 平民がいい! 平民最高! 貴族? 世間体? 地位? 名誉? そんなもんクソくらえだ!! 金は欲しいけど! …………ふぅ……取り敢えず目標決めるか」


 俺は一頻り不満と願望を叫んだ後、冷静になった頭で考える。


 今の俺は多分ディヴァインソード家で態度が悪いクソガキ程度の認識だろう。

 流石に5歳でそこまで嫌われることなど早々出来ない。

 実際にゲームであった『ジン・ディヴァインソードは外見も性格もクソ』『悪意の塊』などまだまだあるのだが、そんな評判はメアが言うには現時点ではまだ無いらしいし。

 ただ執事からは結構嫌われているとはいってたな。

 コイツ一体何をしたんだか……。


「ただ、正直猫かぶるのは普通に面倒だし精神疲労が半端じゃないんだよなぁ」


 家族にまで猫かぶらないといけないとか地獄かよ……。

 ただ俺は評判通り落ちこぼれだしなぁ……学園行かないでも良いかな?

 そうしたら破滅フラグとか一気に消えるんだけど。

 

 でも貴族なら絶対に行かないといけないし、仮に行かないと言ったら親に殺されそう…………ん? 


「なら俺が誰にも文句言われないくらいに強くなれば良いんじゃね?」


 俺的にはメアさえ居てくれればそれでいいし。

 俺が強くなれば猫かぶる必要もなくなるし、破滅フラグも自ずと消えて親から罵倒されることもない。

 ……最高じゃん。


 実際俺にはそれを現実に出来る可能性がある。

 なにせ俺とジンには―――



「―――世界最高の魔法の才と、この世界の全知識があるんだからな」 

 

 

 今からやっても遅くはないさ。

 メアとの平穏な日常を送るために―――。

 



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 今日は2話更新です。

 次話は18時5分頃更新!!

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