第7話
多くの騎士に守られ、進む一つの立派な馬車。
「すみません……わざわざ王都まで運んでくださって」
その場所の中には向かい合って座る僕とララティーナ王女殿下がいた。
「いえ、これくらい当然のことですよ。我々の領内で起こった事件ですので……本来であればこの生命でもって償いをせなばならぬ罪なのですから」
王女誘拐。
もし、それに公爵家が関与していたのならば、公爵家一家全員処刑なんてことになりかねない。
……というか、今更だけどゲームにララティーナ王女殿下の誘拐事件なんてあったけ?
ラインハルト公爵家が揺れだすのは僕が大きな問題を起こし始めてからのはずなんだけど。
「いえいえ!そんな!今までの行いでも十分です!あの暴漢たちから私を助け、男らしく自分の家までエスコートするだけでなく。共に王都にまで向かってくれるのです。これ以上何を求めると言うのでしょうか」
「そうおっしゃってくれると幸いです」
言質取ったからな。
たとえもし、この誘拐事件に父上が関わっていたとしても、僕の命だけは助けてもらえるよう働きかけてくれよ?
僕はこんなところで死にたくはないんだよ。
「ふぅー」
僕は息を吐く。
王都に着くまで三日ほど……その道中に多くの街を訪れ、色々な貴族と会うことになるだろう。
それに対応するのは未だに八歳でしかない僕とララティーナ王女殿下である。
今からでも憂鬱になってくる……流石に貴族たちも僕たちから何か自分たちにとって都合の良い言葉や話を引き出してこないだろうけど。
「どうかなさいましたか?」
「いや、何でも無いですよ。長旅となります。馬車の乗り心地は如何でしょうか?」
「問題ありませんよ。良い馬車ですね。私達が使う王家の馬車と同じくらいの良い乗り心地です」
「そうですか。ララティーナ王女殿下にそう言って頂けたともなればこの馬車を作った者たちも喜ぶでしょう」
「ふふふ。それなら良かったです」
何事もなく終わってくれると良いのだけど……。
僕はそんなことを考えながら進み続ける自分たちの馬車に襲撃を仕掛けようと行動している男たちを魔法で遠距離からスナイプして倒していった。
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