気球の中にあるライト、その電源を入れる役 ★彡

 気球が完成し始める。もう完成寸前までできているのだが…


 翠夢は休んでいた。あまり深くかかわりすぎていたと考え、距離を話して考え直す。人と関わるときの基本的な流れだった。


「(これはあいつに対する感情…か?だが…)」


 数週間、同じ作業を続けていただけなのだが、瑠璃が妙な動きをしてしまう時があり、それにより嫌でも意識せざるを得なくなっていた。


瑠璃「うーん…(フラフラ…)あれ?」

翠夢「どうした?疲れているならそのことを伝えてほしい。一応、ある程度対応はできるから」

「はい…」


 しかし、そのことについて、翠夢は聞くことが出来なかった。そこに触れてはいけないような気がしていた。それでも、気球作成は進んでいく。翠夢も瑠璃も、お互いの感情に気が付きそうで気が付かない。気が付いているのかもしれないが、


 そして、気球が完成する直前。

 最後の取り決め。決められるのは、気球を明るくする役。

「重要なことだな。気球を支える役は。怪我をしないようにしないと」

「気球を支える役は、周りの人達ね。私は別の所で問題が起きた時に対応」

「俺は…(支える役でいいのか…?)」

「??」


 この件だが、なかなか決まることはなかった。そのため、翠夢自ら受けることにしたようだった。理由としても、皆がやりたがらないこと、自分を変えるためである。タイミングよく電気をつけるだけではある。


「俺がやろう。皆やらないなら俺がやるし、思うところもあるから」

「ええっ…いいの?」

「でも、できるなら、つけるタイミングはちゃんと教えてほしい。そういうのがわからないことが多い。問題が起きた時に対応してくれる人…例えば、瑠璃さんとか」

「…それは…でも、やります…やりましょう。大丈夫です(翠夢君なら…きっと…)」


 翠夢は既に瑠璃に一定の信用を置いていた。瑠璃は少し震えていたが、すぐに持ち直し、翠夢を信用していた。どちらも、一定の好意を抱いているのは間違いないはずだが、今までの経験から先に進むのを躊躇していた。


 「全体的に体が怠い。瑠璃は結局何を考えているのかまだわからない。相手から来てくれたらどれだけ楽だったか。」

 「ああ…言ってしまった。もう後戻りできなくて…怖い。あの人は大丈夫だと思うけど、豹変したら…」


★彡


城将『なにやってるんだ?あんな役を受けて』

翠夢「周りがやらないなら俺がやるしかない。それに、この出し物に意味があると思う。これをやり遂げることで、何か…変われる気がする」


『変われるだってさ。ははっ…』

「何かあるのか?」


『過去お前がしでかした事、今更立て直せると思っているのか!?』


 翠夢の過去は酷い物であった。しかし、それでも生きている。翠夢にとって、それらは過去でしかなかった…はずなのだが。


『他人に手を上げ、女の子に手を上げ、対応しなかった奴らのせいにしたお前が、今更やり直せると思っているのか?』

「過去は過去でしかないな。今度こそできる」

『あの子は普通じゃないとわかっているんだろう?普通の子の方が楽だ』

「あの子は普通じゃない?普通じゃないことに何か問題でもあるのか?」


『お前は、過去に囚われ続けて、その贖罪のためにあの子を利用しようとしているんだ』


★彡

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