破壊のスキル

「私が話すより、こちらが話す方がわかりやすいですからね」


リズリさんは、何かを入力して検索をかけている。


「これです。読んでみて下さい」


「わかりました」


俺は、リズリさんに言われて検索機を読む。


【フキー】のスキルを使うのには注意しなければならない事がある。あまり、大きな声で言ってはならない。大きな声で言うと【フキー】を【フケー】と勘違いされてしまうのだ。


【フケー】は、破壊スキルになります。屋根を壊したい時、家を解体したい時、車を解体したい時。何かを壊したい時に叫ぶとあなたの代わりに風の小人達が壊しにやってきます。風の小人の破壊方法は、二種類あります。風で破壊するか、爆弾を使うかになります。爆弾と言っても、人体に害はなく匂いも無臭になりますので大丈夫です。音だけは、破裂音でうるさいので、ご注意下さい。


フケー??フケー?!俺は、フケーとは言っていない。発音がおかしかったのか?


リズリさんは、首を傾げてる俺に話かけてくる。


「あのー。もしかして、間違った記憶はありませんか?」


「いえ、ありません。ちゃんとフキーと言いました」


「それなら、これは当てはまりませんねーー」


リズリさんは、俺にもう1つ見せてくれる。


【フキー】と【フケー】の発音間違いの場合。

【フキー】と語尾が下がる場合は、【フケー】と間違えられてしまいます。【フキー】と語尾が上がる場合は、【フルー】と間違えられてしまいます。【フルー】と言うのは、物を混ぜる時に使います。振るものがない場合には、こちらは適用されず何も起きませんので安心して下さい。


【フキー】と叫ぶ時は、フラッとに言ってくれますようにして下さい。


語尾が下がった記憶もないのだけれど……。


「語尾が下がった記憶もはありませんか?」


「ありませんね」


「そうですかーー。では、何でしょうかね?」


リズリさんは、顎に手を当てながら首を傾げている。


「あの……」


スキルの話をしようとしてやめた。


「直せるかどうかは、私が一度確認してみますから大丈夫ですよ」


リズリさんは、ニコニコ微笑んでくれる。


「あのーー。もう1つお願いしていいですか?」


「はい。何でしょうか」


「実は、スキルの習得がまだでして……。出来れば、アオーの掃除をお願い出来ますか?」


「そんな事ですかーー。大丈夫ですよ!やりましょうね。どちらになりますか?」


「すみません。こちらです」


俺は、リズリさんを部屋に案内する。


「それでは、始めますね。ハキフキルー」


??????何だそれ??


「こちらは、プロになったら使えるスキルですよーー」


リズリさんのスキルは、一瞬でアオーとクローを片付けてくれた。


「ピカピカになりましたね!こんな事でよければ、いつでもやりますからね」


「よろしくお願いします」


リズリさんは、母に似ているからだろうか……。


俺は、とても話しやすかった。

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