創作のためのAI活用法 ChatGPTが凄すぎる

高瀬ユキカズ

いやもう、AIを使わないとヤバいんじゃない?

 正直言って、AIは嫌いだった。


 なぜなら、現行の人工知能は『知能』と呼ぶには大げさで、実用できるほどのものではないと思っていたからだ。原始的なレベルでしかないものを、世間が大げさに囃し立てていると感じていた。


 ところがChatGPTがすごいという情報がやたら目につく。確かめるために、一度使ってみなくてはならないと考えた。


 ChatGPTはチャット形式で自然な文章を返してくれるAIだ。

 ChatGPTを使ってみたのが昨日の話。(執筆は2023年2月10日)

 使ってみて、これは「ヤバい」というのが感想。いや、もう、ヤバいという言葉しか出てこない。


 小説を書く上で、ゼロから物事を考えていくのは難しい。


 例えば、三題噺というものがある。お題をランダムに3つ挙げて、それを必ず使って小説を書く。「騒音」「豚」「夏」など関連性が少ないお題から発想をふくらませる。なにかのたたき台があるだけで、そこから連想が広がっていく。


ChatGPTにこのような質問をした。

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>ミステリー小説のあらすじを300文字以内で考えてください。

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返ってきた回答は以下の通り。

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「有名な作家の新作小説の発表パーティーに招待された主人公、ジョン。しかし、パーティー中に作家が殺されてしまい、ジョンは自分が犯人ではないと主張するものの、証拠が彼を疑わしめる。ジョンは自分のinnocenceを証明するために、真犯人を追跡しなければならない。彼は過去の作家の人生と関係のある人物たちとの戦いが始まり、真実が明らかになるまでの過酷な旅に出る。」

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(『innocence』とあるのは原文のママ)


 もちろん、これをそのまま使うことなんてできない。しかし、発想を広げるための種として使うことができる。


 小説を書いていて、相談相手がほしいと思ったことはあるだろう。誰かと話し合うことで発想の輪が広がっていく。自分だけでは考えもつかなかった新しいアイデアやひらめきが生まれてくる。


 ところが実際には相談相手を見つけることは難しい。

 ChatGPTはその代わりとなる可能性を秘めている。


 他にもこんな質問をしてみた。


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>ミステリー小説の舞台設定を300文字以内で考えてください。


「舞台は、古き良き時代を思わせる小さな町、グレイスハブ。町は緑に囲まれた山と川が特徴的で、住人たちは親しみやすく、優しい性格を持っている。しかし、そんな風情があるグレイスハブでは、不可解な事件が頻発していた。ジョンは、この町に赴任することになり、事件の謎を解き明かすために奔走することになる。グレイスハブの秘密と共に、ジョン自身もますます謎に包まれていく……」

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>ミステリー小説の書き出しを300文字以内で考えてください。


「グレイスハブに住む小説家、ハリー・ブラウンが殺害された。彼は最後に見られたのは、自分の家で、新作の原稿を書いていたところだった。現場には、手がかりが何もなかった。誰もがハリーが持っていた秘密を知っていると思っていたが、彼のことを知る人はいなかった。ジョン・ドノヴァンは、グレイスハブの捜査官として、この事件を解決することになった。しかし、彼が思い描いたよりも、はるかに複雑な真相が待ち受けていた……」

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 AIのすごいところは速いということだ。人間に質問したとしても、これほど速くは回答できない。

 ただし、質は高くないと感じる。それはAIが面白さや豊かな感性をまだ持っていないからだ。AIに奇抜な発想や斬新な切り口は期待できない。

 

 それでも優秀な秘書や助手としては使うことができそうだ。


 AIに小説を書かせるとか、そういうことではない。

 いままでの私は、はっきり言って勘違いをしていた。


 ChatGPTは自然な文章を生成できるということは知っていたが、だから何?というスタンスでいた。AIは人間の代わりをさせるものではないのだ。少なくとも現行のAIは。


 ChatGPTは文章の生成だけはなく、ユーザーが書いた文章も高い精度で認識する。

 それにより、対話形式でAIが様々な質問に答えてくれたり、ときには記事を書いてくれたり、プログラムのコードを書いてくれたりもする。

 小説を書かせることもできるが、それはまだ未熟な段階ではある。


 AIなんて、どうせまだ使い物にならないレベルだろうと侮ってしまっていた。AIは人間と同じことをさせるものだと考えていたから間違っていた。これは人間が小説を書くために利用できるツールだったのだ。あくまで道具だということだ。


 今どきは誰もがネットで検索をする。小説を書く上でもわからないことがあればネットで調べる。以前は本で調べていたが、いちいち図書館へ行くことも少なくなった。

 いまだに図書館で調べている人もいるだろうし、もちろん本の情報の信頼性と精度は高い。

 しかし、情報を調べる圧倒的な速さと量ではネットが凌駕してしまっている。

 まさしく、「凌駕」なのだ。

 主にGoogle検索を使っているわけだけれど、Googleを使っていなければ論外だ。Googleで検索することをググると言う。中にはググれない人がいる。そんな人は確実に取り残されている。


 そして今、選択肢がひとつ増えることになるかもしれない、という点で「ヤバい」のだ。

 AIを使いこなせないとヤバい時代が目前に迫っている。


 ミステリー小説を書こうとしているとする。しかし、何も思いつかない。途方に暮れる。何から手を付けたらいいのか、そもそも何を題材として考えていけばいいのかわからない。相談したり、話し合えたりする人もいない。


 そんなときはAIに聞いてしまえばいい。


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>ミステリー小説の題材を探す方法を教えてください。


ミステリー小説の題材を探す方法はいくつかあります。以下はいくつかのヒントです:

身近なトラブルや事件:日常生活や周囲に起こった事件やトラブルから題材を探すことができます。

新聞記事:新聞やインターネット上で報道された事件や事故から題材を探すことができます。

古典的な題材:例えば、推理小説やミステリー小説の代表的なテーマ、例えば「犯罪と解決」「殺人事件」「秘密と隠された真実」など。

自分の好きなもの:自分が好きなものや興味があるものから題材を探すことができます。例えば、歴史、科学、芸術、スポーツなど。

フantasyとリアルの融合:リアルな世界に奇妙な要素を追加することで、独特の題材を作り出すことができます。


これらはあくまでヒントであり、あなた自身の創造力や想像力が最も重要な要素となります。常に新しいアイデアを生み出し、今までにないアプローチを試みることが重要です。

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 ファンタジーが『フantasy』となってしまっている。英語から日本語に変換しているようで、時々こうしたことが起こる。


 それにしても、すごく……ない……か? これ、AIがその場で生成した文章なんだぞ……。


 そして私はChatGPTの沼にはまっていくことになる。


 ChatGPTは一種のおもちゃなんだと思う。単純に、使っていて面白いんだ。

 正直言って、スマホのゲームをいじっているよりChatGPTに質問をするほうが面白い。

 ChatGPTを使ったからといって、小説を書けるようになるわけではない。でも、使うことで創作の幅が大きく広がる可能性がある。


 自分の代わりにAIに小説を書かせて自分は楽をするだとか、そういうものではないんだ。そもそも現行のAIは、こういった目的で使うレベルには達していない。楽をしたり手抜きをしたりするよりも、作業の面白さにどっぷりとはまりこむための道具だ。むしろ作業が大変になるのではないかという気さえする。


 幅が広がるということはそういうことだ。でも、外から見たら努力だが、本人は遊んでいるようなものだ。ChatGPTを使ったほうが創作が楽しくなるということだ。

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